瀬戸内に向き直る三日間。広島駅前の復興都市に泊まり、翌朝は山陽本線で呉へ下って旧海軍工廠の岸壁を歩き、最後は竹原の重伝建で江戸期の製塩町家に身を置く。建築と港湾と町並みを、宿の単位で繋ぐ二泊三日の編成である。梅雨明け直後、瀬戸内の光が最も乾いた色を見せる時期に合わせて編成した。

宿 エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
Day 1 THE KNOT HIROSHIMA 広島市中区 92 201 ¥23–¥44k 1973年築の旧サンルートを翻案、ルーフトップから原爆ドームを臨むブティック
Day 2 クレイトンベイホテル 呉市 91 60 ¥24–¥44k 大和ミュージアム西方、海軍工廠跡の港を見下ろす60室のシティリゾート
Day 3 NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町 竹原市 95 10 ¥84–¥125k 重伝建の旧商家を分散型ホテルに再生、客室は3棟(HOTEI/MOSO/KIKKO)に点在

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)。

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Day 1 — 広島駅徒歩圏、復興都市の現代建築に泊まる

新幹線で広島駅へ降り立つ初日は、平和記念公園を歩いた後、大手町のTHE KNOT HIROSHIMAに投宿する。原爆ドームから徒歩約10分、戦後復興建築群の現役が並ぶ通りに立つ。チェックイン後はルーフトップバー「Kei」で日が暮れていくのを待ち、夕食は本通り商店街で広島の郷土料理を選びたい。

1. THE KNOT HIROSHIMA — 広島市中区大手町

平和大通り沿いに2020年新築開業した201室のブティック。ルーフトップから復興都市の通りを見下ろせる一軒である。

Media Picks Score: 92 / 100  201室、都市プレミアム。

目安価格 ¥23,000–¥44,000 / 泊 (2名1室・通常期)


THE KNOT HIROSHIMA — 広島市中区大手町 · 旧サンルート広島を翻案した201室の都市型ブティック
PHOTO: THE KNOT HIROSHIMA — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

1973年竣工の旧サンルート広島の躯体を残しつつ、共用部と客室をリノベーションして2020年8月に開業した。建物は中央通りと平和大通りの交点に立ち、戦後復興期に立ち並んだ業務系建築の典型例として現在も存在する。ルーフトップバー、最上階の眺望、そしてアトリエを思わせる客室の家具配置が、観光ホテルでは得難い編集的な余白をつくる。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、立地と客室デザインへの言及が突出して多い。広島駅からの距離(路面電車で約12分)よりも「平和記念公園や本通りへ歩いていける」点を高く評価する傾向が見て取れる。共用部のデザインに関しては、賛否が分かれる項目ではあるが、編集的距離を保った設えを好む層の支持が厚い。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    平和記念公園・本通り商店街を歩く拠点を求める旅、建築リノベーションに関心がある層、ルーフトップで一杯欲しい大人2人旅
  • 向かない:
    新築の整った設備を期待する層(築約53年の躯体)、温泉やスパを宿に求める旅、深夜のアクセスを駅徒歩圏で完結したい人(広島駅から市電で約12分)

具体情報

  • 最寄り駅: 広島電鉄「袋町」電停 徒歩約3分、JR広島駅から市電約12分
  • 客室サイズ: 17〜45㎡(スタンダードからスイートまで)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 朝食はオールデイダイニング「MORETHAN」、夜はルーフトップバー「Kei」
  • 建物: 2020年4月竣工、2020年8月1日開業(旧東亜地所本社跡地に新築)


Day 2 — 山陽本線で呉へ。海軍工廠の岸壁、海を見る宿

朝、広島駅から呉線(または広島呉道路経由のバス)で約45分、海軍の街として近代を歩んだ呉市へ移動する。大和ミュージアムで戦艦大和の十分の一模型を見、てつのくじら館で海上自衛隊潜水艦を間近に見たあと、宿はその西方、海岸沿いのクレイトンベイホテルに取る。日没後は阿賀港・川原石港の灯りが入江に並ぶ夜景に変わる。

2. クレイトンベイホテル — 呉市築地町

旧呉海軍工廠を望む築地町の岸壁に立つ60室のシティリゾート。窓の外には港湾の重機と造船の灯りが並ぶ。

Media Picks Score: 91 / 100  60室、シティリゾート。

目安価格 ¥24,000–¥44,000 / 泊 (2名1室・通常期)


クレイトンベイホテル — 呉市築地町 · 旧海軍工廠の岸壁を望む60室のシティリゾート
PHOTO: クレイトンベイホテル — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

呉駅から西方へ車約7分、大和ミュージアムから徒歩圏のシーサイドに立つ。60室という規模は呉市内では中規模に位置する。客室の多くは海側を向き、窓の外には旧呉海軍工廠の流れを継ぐジャパンマリンユナイテッド呉事業所のクレーンと、湾内を出入りする海上自衛隊艦船のシルエットが並ぶ。日本料理「呉濤」では瀬戸内の魚介を中心に据える。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、海側客室の眺望と、フロント・レストランの応対への言及が中心となる。建築の年代を踏まえた上で、運営と立地で評価する宿泊者が多い。呉駅からの送迎バスの利便性についても、肯定的な言及が一定数積み上がっている。「港町に泊まる」という体験そのものを目的とした旅程に対して、概ね期待通りの応答を返す宿といえる。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    近代産業遺産・軍港の歴史に関心がある旅、海側客室を確保したい大人2人旅、大和ミュージアム/てつのくじら館とセットで動く旅程
  • 向かない:
    新築の意匠を期待する層、温泉の宿に泊まりたい旅、徒歩で繁華街へ出たい人(呉駅から車約7分、繁華街は本通り側)

具体情報

  • 最寄り駅: JR呉駅から無料シャトルバス約10分、徒歩約15分
  • 客室: 60室、シングル/ツイン/和室。多くが海向き
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 日本料理「呉濤」、フランス料理「ヴェール・マラン」
  • 開業: 1991年6月


Day 3 — 呉から竹原へ。江戸期の製塩町、町家を一棟翻案した宿に

三日目は呉から呉線で東へ約1時間、竹原市の中心へ移る。竹原は江戸期に瀬戸内の入浜式製塩で財を成した町で、中心部の本町通り一帯は1982年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。塩問屋や酒蔵、寺社が当時の構造のまま残る——いわゆる「安芸の小京都」と呼ばれる町並みの中、商家を翻案した10室のNIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町に最後の一泊を取る。

3. NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町 — 竹原市中央

重要伝統的建造物群保存地区内の旧森川家住宅を中心に、4棟に分散する10室の翻案ホテル。町家の構造を残したまま暮らすように泊まる。

Media Picks Score: 95 / 100  10室、分散型ホテル(重伝建)。

目安価格 ¥84,000–¥125,000 / 泊 (2名1室・通常期)


NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町 — 竹原市中央 · 旧森川家住宅を中心に4棟に分散する10室の町家翻案ホテル
PHOTO: NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

2019年8月、竹原の重伝建地区内のHOTEI棟1Fをフロント・2Fをダイニングとし、HOTEI棟をダイニング、MOSO棟・KIKKO棟を客室棟とする4棟分散型ホテルとして開業した。10室すべて構造材は町家の梁・柱を残し、設備のみを現代に置き換える。瀬戸内の海・竹・酒蔵の麹を象徴する素材使いが共用部から客室まで通底する。NIPPONIAブランドは全国で旧家・町家の翻案を手掛ける、いわゆる分散型ホテルの先駆けである。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、町家の保存と居住性の両立、そしてダイニングHOTEIで提供される瀬戸内の食材を用いたコースへの評価が中心となる。客室間の移動が屋外(重伝建の街路)になる構造、客室数の少なさによるサービスの密度——これらを承知した上で滞在を選ぶ層が、結果として高い評価を寄せている。10室規模の宿に求められる距離感を理解している宿泊者からの支持が厚い。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    重伝建・町家建築に関心がある旅、記念日・大人2人で食を中心に組む滞在、海外からの旅行者で「町に泊まる」体験を求める層
  • 向かない:
    雨天時に客室間の屋外移動を避けたい旅程、コンビニ・自販機などの利便性を宿に求める層、夜の繁華街での外食を組み込みたい人(竹原中心部は夜は静か)

具体情報

  • 最寄り駅: JR呉線「竹原駅」徒歩約10分
  • 客室: 全10室(4棟分散)、町家構造の梁・柱を残した内装
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: ダイニング棟(HOTEI棟2F)のレストラン「ルアン (LE UN)」、瀬戸内の食材を用いたフレンチ
  • 開業: 2019年8月1日開業、HOTEI/MOSO/KIKKO 3棟を再生
  • 所在地: 竹原市中央3丁目、重要伝統的建造物群保存地区内


よくある質問

Q. 三都市を逆順(竹原→呉→広島)で組むことは可能か?

A. 可能だが、旅程の重心は変わる。広島入りで終わると新幹線アクセスの利便性は高いが、最終夜が都市型のため「静けさで締める」編成は崩れる。本記事の順序は、移動の段階的な静けさを優先したものである。

Q. 各宿の予約はいつ頃から組むべきか?

A. NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町は10室と小規模なため、週末や連休は3か月前を目安に動きたい。THE KNOT HIROSHIMAとクレイトンベイホテルは中規模で比較的調整しやすいが、夏の平和記念式典前後(8月初旬)の広島は早めに動く必要がある。

Q. 移動は鉄道とレンタカーどちらが向くか?

A. 広島→呉はJR呉線または広島呉道路バスで十分。呉→竹原は呉線で約1時間。荷物が少なく町並みを歩く前提なら鉄道で完結する。レンタカーは大久野島(うさぎの島)など島嶼部を組み込む場合に検討する。

Q. 旅程に向く季節はいつか?

A. 編集部が推すのは梅雨明け直後の7月中旬〜下旬と、空気の澄む10月後半〜11月。瀬戸内の海と空のコントラストが最も鋭くなる時期である。盛夏の8月は広島市中心部が混雑するため、平和記念式典前後を避けて組みたい。

Q. 海外からの旅行者にも組める旅程か?

A. 組める。広島は英語対応が広く、NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町も多言語対応の運営。重伝建の町に泊まる体験は、初訪日のリピーター層(2回目以降の訪日客)の関心と合致しやすい。

本記事の参考情報

広島県観光連盟 ひろしま観光ナビ — 県全域の観光情報
竹原市観光協会 ひろしま竹原観光ナビ — 重伝建地区と周辺情報
Wikipedia: 竹原市 — 製塩業と町並み保存の背景

編集部から

復興都市・軍港・製塩町という三つの異なる時代の都市を、宿という単位で繋ぐ二泊三日。広島市の戦後復興建築、呉の近代産業遺産、竹原の江戸期町並み——時代が下るほどに規模が小さくなり、客室数が減り、価格が上がっていく。これは偶然ではなく、近代以降の都市開発が大規模化の一途を辿った歴史を逆向きに辿る編成だからだ。瀬戸内に向き直る三日間。次は同じ動線で、しまなみ海道へ抜ける尾道・今治を組んでみたい。

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