松本市
数ヶ月だけ開く宿 — 営業期間を絞るという形式が、隠れ宿に約束するもの
豪雪や離島の航路、避暑地の気候を理由に、年に数ヶ月だけ開く宿がある。営業期間を絞るという形式が隠れ宿に何をもたらすかを、上高地帝国ホテルと弥陀ヶ原ホテルを引きながら考える、形式論シリーズの一篇。
客の前で火を入れる — 炉端・鉄板・炭火、調理を客室や卓で見せる宿の設計
火を客の前で入れる、という一点に宿の設計思想は表れる。炉端・鉄板・炭火、調理を客席へ開いた高級旅館三軒を、火と客の距離という建築の側から読む。
水風呂と外気浴を建築として読む宿 5軒 — 温冷交代を、湯屋の動線に組み込むという設計判断
サウナから水風呂、外気浴へ。整うための往復を、設備ではなく湯屋の動線として設計した宿を5軒。隈研吾の数寄屋から文化財に挿入された茶室サウナまで、温冷交代を建築として読み解く。
夏の浴衣という制度 — 麻と綿、藍と白、宿が梅雨明けに揃える着替えの編集
梅雨明けに宿が浴衣を入れ替える、その編集判断を読む。俵屋旅館・扉温泉 明神館・由布院 玉の湯・料理旅館 金沢茶屋。麻と綿、藍と白の選択に宿の美意識があらわれる。
女性建築家の手による宿 5軒 — 永山祐子・吉田愛らの設計言語を客室で読む
永山祐子、吉田愛——女性建築家・女性主宰事務所が関与したデザイン宿5軒を、設計言語の固有性から読む。木屋旅館からBELLUSTAR TOKYOまで。
朝食の様式 — 一の膳の朝粥、洋皿のフルーツ、汁物だけの椀、宿が朝に編集するもの
高級旅館の朝食は、夕食の余韻をどう畳むかという編集である。洋皿の果物を先付けする明神館、本式を朝まで通すあさば、朝粥と汁物で引き算する妙見石原荘 — 三軒の朝の膳から、宿が朝に編集するものを読む。
二泊三日、松本から安曇野・上高地へ — 蔵の街と日本アルプスを建築で渡る
松本城下の近代建築から安曇野穂高の移築古民家、北アルプスの上高地まで。宿のグレード差で三つの土地を渡る二泊三日の行程を、建築・美術・山の軸で編集部が組んだ。
貸切風呂という時間設計 — 鍵を渡される 50 分が、宿のもうひとつの建築単位になるとき 5軒
鍵を渡される五十分。共用部にありながら個へ閉じる小さな湯小屋を建築単位として持つ、高級旅館 5 軒。妙見石原荘、扉温泉 明神館、萬翠楼福住、海のしょうげつ、湯富里の宿 一壺天。
燗をつける宿 5軒 — 酒の温度を膳のうちに設計するという料理長の判断
梅雨の肌寒い夜、膳の進行に合わせて酒の温度を変える宿がある。冷酒が席巻するこの十年において、燗をつけるという文化を残し、料理長が温度設計を膳組の一部として組み込む五軒——北陸・東北・信州から、酒の宿 玉城屋・扉温泉 明神館・著莪の里 ゆめや・海と入り陽の宿 帝水・洗心館 松屋を、料理長の判断軸で読み解く。
浴槽の形を読む — 寝湯・立湯・打たせ湯、湯に対する身体の姿勢を設計する浴場 5軒
横たわる、深く立つ、滝に打たれる——浴槽の寸法は身体の姿勢を律している。寝湯・立湯・打たせ湯・座湯を建築化した浴場を、群馬・長野・大分から5軒選び、温泉建築を姿勢から読む。