渋温泉
手摺の握りを設計する宿 5軒 — 階段と廊下に添える一本の木を、掌の記憶としてどう削るか
壁でも天井でもなく、客が最も長く肌で触れる部材は手摺である。楢や欅の握り径、面取りの角度、継ぎ目の位置を、木造多層の宿5軒で読み比べる。集約スコアと室数・築年を添えた、身体寸法から建築を語る一本。
湯を溢れさせる縁の設計 — 掛け流しのオーバーフロー縁を建築で読む宿 5軒
湯船の縁が浴室床とツライチに沈み、湯が薄く均一に流出する — その構造を設計として選ぶ宿を、群馬・栃木・長野の温泉建築から5軒選出。桧・十和田石・鉄平石・大理石という4素材の縁で、掛け流しを口ではなく断面で示す設計判断を読む。
湯屋建築の宿 5軒 — 木造・登録有形文化財・数寄屋、温泉建築を目的にする一泊
斉月楼の四階、平田雅哉の別棟、駿河湾を望む木造二階。文化財と数寄屋の意匠を目的にする5軒の温泉建築を、Wabistay 編集部が選んだ。
浴場のタイルを読む宿 5軒 — マジョリカ・染付・モザイク、湯屋の壁に貼られた近代の焼き面
四万・城崎・銀山・渋・鉛。大正から昭和初期にかけて浴場に貼られた装飾タイルを、産地と施釉の技法から読む。近代湯屋の焼き面を残す温泉宿5軒を、温泉建築の視点で選んだ。
湯気抜きの形式論 — 越屋根・煙抜き・トップライト・高窓を比較する、湯屋の上方換気の系譜 3軒
屋根上の小屋根「越屋根」、屋根頂部の開口「煙抜き」、現代の「トップライト」、壁面上部の「高窓」。湯気を空へ逃がす4形式を、文化財指定の木造湯屋から現代和モダンの改修宿まで3軒で比較する湯屋建築論。
湯気抜きの越屋根を読む宿 5軒 — 屋根の上に小屋根を載せ、湯気を空へ逃がす換気の意匠
木造の湯屋では湯気をどう逃がすかで建築の輪郭が決まる。屋根の棟に一段高く小屋根を載せる越屋根を持つ温泉旅館を、東北・信越の5軒に読む。国登録有形文化財級の木造湯屋建築を中心に、梅雨どきの結露期に建築を観察する。
湯田中・渋温泉郷から志賀高原へ — 木造湯屋と高原リゾートが同居する北信濃の浴場建築 5軒
長野県山ノ内町、湯田中・渋温泉郷から奥志賀高原まで標高差を一筋にたどり、低地の木造湯屋と高原型リゾートが同居する北信濃の浴場建築を5軒。寛永期の館内九湯から、標高1,500mに載る地上4階露天まで。
銅板葺きの湯屋 5軒 — 緑青へと変わる屋根が、温泉建築に与える時間の表層
葺いた当初の赤銅色から緑青へ。金属屋根が屋根そのものに刻む時間の表層を、登録有形文化財級の老舗湯宿5軒から温泉建築の側で読む。向瀧・西村屋本館・能登屋旅館・積善館・金具屋。
燗をつける宿 5軒 — 酒の温度を膳のうちに設計するという料理長の判断
梅雨の肌寒い夜、膳の進行に合わせて酒の温度を変える宿がある。冷酒が席巻するこの十年において、燗をつけるという文化を残し、料理長が温度設計を膳組の一部として組み込む五軒——北陸・東北・信州から、酒の宿 玉城屋・扉温泉 明神館・著莪の里 ゆめや・海と入り陽の宿 帝水・洗心館 松屋を、料理長の判断軸で読み解く。
雪見障子と無双窓 — 浴場の開口部を、季節で開閉する装置として読む 5軒
雪見障子で雪を額装し、無双窓で夏の風を引く — 浴場の開口部を、季節で開閉する装置として読む五軒。長野・別所、渋温泉、銀山、野沢、岩手・大沢温泉から、登録有形文化財の旅館と築二百年級の湯治宿まで。