三浦半島の最南端、相模灘と城ヶ島大橋の狭間に低く挿し込まれた一軒として、編集部はこの宿を選んだ。2026年3月15日に開業した「ふふ 城ヶ島 海風のしらべ」は、首都圏から特急で約2時間という近接性と、半島先端の隔絶感とを同時に成立させた稀有な立地に建つ。全34室すべてに天然温泉露天と外洋に開かれた窓を備え、ふふブランドが追求してきた「客室温泉付スイートのみ」という構成を、ここでは岬の地形そのものに沿わせた。

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込・1泊2食付)です。


ふふ 城ヶ島 海風のしらべ — 三浦市三崎町・城ヶ島対岸 · 2026年3月開業、全34室客室温泉付スイートの海岸ラグジュアリー旅館
PHOTO: ふふ 城ヶ島 海風のしらべ — 公式サイトを見る →

Media Picks Score: 87 / 100  34室、温泉付スイートのみ構成の海岸ラグジュアリー旅館(カトープレジャーグループ運営「ふふ」ブランド最新軒)。

目安価格 ¥119,000–¥187,000 / 泊 (2名1室・通常期・1泊2食付)

立地 — 半島先端という建築的与件

城ヶ島は神奈川県三浦市の南端、本土と城ヶ島大橋(1960年竣工、全長575m)でのみつながる小さな島である。「ふふ 城ヶ島」が建つのは島対岸の三崎町、城ヶ島大橋の付け根に近い崖縁の敷地で、視線の先には相模灘の外洋が広がる。三浦半島には城ヶ崎ではなく「三崎」と呼ばれる漁港文化の集積があり、まぐろ水揚げで知られる三崎魚市場まで車で数分の位置関係にある。

立地の核心は、首都圏との距離感の二重性にある。品川駅から京浜急行で三崎口駅まで約80分、そこから路線バス約30分、城ヶ島地区への徒歩約5分という公共交通の所要時間は合計約130分。羽田空港からは車で約90〜100分。週末の隔絶感を求めながら、月曜朝の都心への復帰までは見えている、そのギリギリの距離に岬がある。半島という地形が生む「行き止まり」の心理が、滞在の質を決定的に変える要素として効いている。

建築 — 低層水平の構えと開口部の方位

建物は3階建ての低層水平構成で、崖縁の地形に沿って横に長く伸びる。城ヶ島大橋という巨大な人工物が視界の片側を占めるため、橋を借景として取り込みながらも、客室の主軸は外洋側の相模灘に振られている。ふふブランドの他軒(箱根・河口湖・熱海など)が「森」「湖」「街」を素材としてきたのに対し、城ヶ島では「外洋」と「橋」という対照的な二つの距離感を同時に扱う点が新しい。

全34室のうち、2階配置の「潮風スタイリッシュスイート」「夕映コンフォートスイート」「蒼海プレミアムスイート」、3階配置の「光波スタイリッシュプレミアムスイート」「汐音プレシャススイート」「ふふオーシャンスイート」「ふふオーシャンプレミアムスイート」と、フロアごとに高さによる視点の差が室名と直結している。最上階の「ふふオーシャンプレミアムスイート」は140㎡、4名定員のセパレート構成で、客室温泉露天は岬の先端方向を向く。


ふふ 城ヶ島 海風のしらべ — ルーフトップ空間 · 低層水平の構えに沿って相模灘を望む
PHOTO: ルーフトップから望む相模灘と城ヶ島大橋 — 公式サイトを見る →

客室 — 7タイプ・58〜140㎡という幅

34室すべてに天然温泉露天と内風呂(タイル仕上げ)を備える。客室タイプは7区分、面積帯は58㎡(潮風/光波スタイリッシュスイート)、68㎡(夕映コンフォートスイート/汐音プレシャススイート)、84㎡(蒼海プレミアムスイート)、105㎡(ふふオーシャンスイート)、140㎡(ふふオーシャンプレミアムスイート)と段階的に設計されている。ワンルーム型とセパレート型を選択でき、最大4名までの利用が可能な構成も含む。

客室の温泉は天然温泉で、岬の崖縁という地理を活かした泉源を引いている。ミニバーは飲料Free(追加分のみ別途)、内装はタイル仕上げの内風呂とウッドの床材を組み合わせた構成で、ふふブランドが過去の軒で蓄積してきた「室内で温泉が完結する」設計言語が、ここでは外洋ビューと結合している。


ふふ 城ヶ島 海風のしらべ — 客室温泉露天と相模灘 · 全34室に温泉露天を備える構成
PHOTO: 客室温泉露天 — 公式サイトを見る →

食 — 「日本料理 汐結」と三浦半島の漁港文化

夕食・朝食ともに館内のレストラン「日本料理 汐結(しおむすび)」で供される。三浦半島は相模湾と東京湾の二つの海に挟まれた地形ゆえ、漁港文化が江戸期から積み重なってきた土地である。三崎の遠洋まぐろ、走水の蛸、葉山の魚介、横須賀の野菜と、半径30km圏に多様な食材源が点在する。汐結のコンセプトはこの地理を引き受けた「相模湾の魚介を炭火焼で香ばしく仕上げる」日本料理で、夕食・朝食ともに館内のレストランで時間制で運営される。

食事提供のスタイルは「プライバシーに配慮した上質な空間」と公式が表現するとおり、個室志向で構成されている。ワインと日本酒のペアリングが用意され、半島の漁港由来の食材と、全国から取り寄せる季節食材を四季ごとに入れ替える設計。


ふふ 城ヶ島 海風のしらべ — 日本料理 汐結 · 三浦半島の漁港文化を引き受けた炭火焼の日本料理
PHOTO: 日本料理 汐結 — 公式サイトを見る →

ふふブランドの中での位置 — 「海」を素材にした最新軒

ふふは、カトープレジャーグループが2014年の河口湖開業を皮切りに展開する小規模ラグジュアリーリゾートブランドで、現在は箱根・熱海・河口湖・那須・京都・奈良・日光・銀座など複数の地に軒を構える。共通する設計言語は「全室温泉付スイートのみ」「30〜50室前後の規模」「日本料理の個室提供」の3点で、規模を抑えた上で素材を地に振る方針を取ってきた。

城ヶ島は、このブランドの中で「海」を主素材に据えた最初の本格軒となる。熱海・箱根・河口湖は山と湖が中心にあり、銀座は都心という別文脈にある。これに対して城ヶ島は外洋に開かれた岬という与件をそのまま引き受けた構成で、ふふブランドが次に取り組むテーマ — 海と漁港文化を素材化する設計 — の試金石として位置づけられる軒である。

集約レビューが映す現時点の傾向

2026年3月15日開業のため、公開レビューの母数は記事執筆時点でまだ集積段階にある。Media Picks Score 87 は、ふふブランドの既存軒で蓄積された運営評価(箱根・熱海・河口湖いずれも開業数年以内に集約スコア4.5以上を達成)と、本軒の設計上の差別化要素(半島先端立地、外洋ビュー全室、温泉付スイートのみ34室の小規模構成)を加味した編集部のスコア構成によるもので、実際の宿泊評価が集積するに従い、再評価される予定である。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 記念日・カップル旅、新規開業軒に早期に試泊したい層、首都圏から半島の隔絶感を1泊で得たい人、客室温泉と外洋ビューを最重視する旅程
  • 向かない: 観光地巡りで宿に戻る時間が短い旅程、子連れの家族(客室は基本2〜3名定員、設計が大人向け)、価格レンジ¥10万以下の予算で組む旅

具体情報

  • 所在地: 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島693
  • 客室数: 全34室(7タイプの客室温泉付スイート)
  • 客室サイズ: 58〜140㎡(潮風/光波58㎡、夕映/汐音68㎡、蒼海84㎡、ふふオーシャン105㎡、ふふオーシャンプレミアム140㎡)
  • 客室設備: 全室天然温泉露天 + 内風呂(タイル仕上げ)、オーシャンビュー、ミニバー(飲料Free)
  • 食事: 日本料理 汐結(個室提供)、夕食18:00〜22:00(最終案内 20:30)/朝食8:00〜10:30(最終案内 9:30)
  • アクセス(電車): 品川駅 → 京浜急行 三崎口駅 約80分 → 路線バス 約30分 → 城ヶ島 徒歩約5分(合計約130分)
  • アクセス(車): 羽田方面 約90〜100分、横浜・小田原方面 約60〜120分
  • 開業: 2026年3月15日
  • 運営: カトープレジャーグループ「ふふ」ブランド

編集部から

「ふふ 城ヶ島 海風のしらべ」は、首都圏から特急2時間という近接性と、半島先端の隔絶感とを同時に持つ希少な軒である。ふふブランドが2014年から積み上げてきた「全室温泉付スイートのみ」「30〜50室規模」「日本料理の個室提供」という設計言語を、ここでは外洋という新しい素材に当てた。開業から3ヶ月、運営の手触りと食の質、相模湾を素材にした料理の方針が、ふふブランドの次の10年を方向づける軒になる可能性がある。新規開業軒に早期に試泊する旅人にとって、夏休み前のこの時期は、混雑が本格化する前の最後の窓だろう。

よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 外洋に開かれた立地のため、季節風の影響を受けやすい。編集部が推す時期は梅雨入り前の5月下旬〜6月上旬と、晩秋10月〜11月。冬季は北西の季節風が強く、相模灘の波が高い日が続くため、ロビーやルーフトップでの滞在体験は穏やかな日を選びたい。

Q. 予約のタイミングは?

A. 2026年3月15日の開業以降、週末・祝日は3〜6ヶ月前の予約が中心になっている。平日は1〜2ヶ月前でも調整が利く時期があるが、夏休み・GW・年末年始は早期に埋まる傾向。最上位の「ふふオーシャンプレミアムスイート」140㎡は1室のみのため、記念日利用は半年前から動くのが安全である。

Q. アクセスは?

A. 公共交通は品川駅 → 京浜急行三崎口駅 約80分 → 路線バス約30分 → 城ヶ島下車徒歩約5分(合計約130分)。羽田空港から車で約90〜100分。城ヶ島大橋の付近は急坂があるため、車高の低い車での来訪時は注意が必要。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. 客室は基本2〜3名定員で大人向けの設計。最上位の「ふふオーシャンプレミアムスイート」「ふふオーシャンスイート」は4名定員のセパレート構成で、家族での利用は可能。ただし崖縁の立地と急坂のアクセスを考慮すると、未就学児を伴う旅程はやや慎重な検討が必要である。

Q. 周辺の見どころは?

A. 城ヶ島大橋を渡った先の城ヶ島には城ヶ島灯台(明治3年初点灯、現存は1925年再建)、馬の背洞門(海蝕地形)、城ヶ島公園の磯歩きコースがある。本土側の三崎港まで車で数分、まぐろ料理の店舗が集積している。北原白秋ゆかりの白秋記念館も島内にある。

本記事の参考情報

観光かながわNOW: ふふ 城ヶ島 海風のしらべ — 神奈川県公式観光サイトの施設情報
ふふ JAPAN 公式ブランドサイト — ふふブランド全軒の展開と運営方針
Wikipedia: 城ヶ島 — 城ヶ島の地理・歴史的背景

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