京都市内に一泊、琵琶湖南岸にもう一泊。比叡山を挟んで京と近江の街を歩き継ぐ二泊三日の旅程は、車を持たない大人の鉄道と徒歩だけで組めることを、この記事は前提にしている。京都駅から大津駅までは新快速でわずか九分。しかし東山と琵琶湖畔、雲母坂と坂本石積みの参道は、文化圏としてまるで別の土地である。両泊地とも都心徒歩圏の上質宿から選び、比叡山延暦寺・坂本の里坊・三井寺を挟む一連の滞在として設計した。二軒それぞれ、街を歩いた後に戻る場所としての強度を持っている。
| 日 | ホテル | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1日目 | エースホテル京都 | 中京区・新風館 | 95 | 213 | ¥56–¥94k | 隈研吾監修、1927年新風館を再生した都市プレミアム |
| 2日目 | 琵琶湖ホテル | 大津市・浜大津 | 89 | 175 | ¥36–¥64k | 大津駅徒歩圏、全室レイクビュー+展望大浴場 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
1日目 — エースホテル京都(中京区・新風館)
1927年竣工の新風館を隈研吾が再生した、烏丸御池のデザインホテル。京都1泊目の起点として編集部が真っ先に置きたい一軒。
Media Picks Score: 95 / 100 213室、都市プレミアム。
目安価格 ¥56,000–¥94,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
京都府庁旧本館と並ぶ近代建築、逓信省時代の新風館(1927年、吉田鉄郎設計)を、隈研吾が新棟増築と改修で一連の街区として組み直した。中庭を挟んで既存棟と新棟の間に路地が通り、宿泊者以外も往来する半公共空間として設計されている。地下鉄烏丸御池駅と直結、京都駅からは地下鉄で六分。1泊目の起点として、街に対する距離感が理想的である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集約からは、建築とインテリアへの評価が抜きん出て高く、レストラン・カフェ・ロビーラウンジといった共用部の完成度が体験の中心を占めていることが読み取れる。客室は木材と土壁を基調とした「アメリカ西海岸から見た京都」のような折衷様式で、好みが分かれる意匠だが、その割り切りに納得する層の支持は厚い。館内三つのレストランはいずれも著名料理人が監修している。
向く人 / 向かない人
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向く:
建築とインテリアを目的にできる大人、烏丸御池を起点に徒歩で街を歩きたい人、館内で夜まで完結させたいカップル -
向かない:
正統派の和の設えや旅館的なもてなしを求める人、四条河原町・祇園の繁華街に近接した立地を優先する人
具体情報
- 最寄り駅: 地下鉄烏丸御池駅より徒歩1分(地下直結)。JR京都駅より地下鉄で6分
- 客室サイズ: 26〜100㎡(スタンダードキング〜スイート)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜12:00
- 食事: 館内3レストラン(イタリアン・地中海・炭火焼)+スタンプタウン・コーヒー
- 再生: 2020年6月開業。1927年新風館の改修+新棟増築
- 設計: 隈研吾建築都市設計事務所(新棟+改修監修)
1日目→2日目 — 比叡を越える、京都駅から大津駅へ
朝、烏丸御池からJR京都駅へ地下鉄で戻り、東海道本線新快速に乗る。京都駅から大津駅までは新快速でわずか九分。この短さが、京と近江を一連の滞在として繋ぐ根拠になる。時間があれば、大津駅で荷物をコインロッカーに預け、京阪石山坂本線で比叡山坂本駅へ。里坊が並ぶ穴太衆積みの石垣を散策し、日吉大社と延暦寺東塔(ケーブル坂本経由)を回るのが2日目の中心。夕方、坂本から大津へ戻り、琵琶湖ホテルにチェックインする流れが自然である。
2日目 — 琵琶湖ホテル(大津市・浜大津)
大津駅から徒歩圏、全室が琵琶湖に面した175室。坂本と三井寺を挟む2泊目に、湖上の光を返す拠点として置きたい一軒。
Media Picks Score: 89 / 100 175室、リゾートホテル。
目安価格 ¥36,000–¥64,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
大津駅から徒歩圏、京阪びわ湖浜大津駅からも近い立地に、全175室すべてが琵琶湖に面した客室を持つホテルが建つ。最上階の展望大浴場は天然温泉で、湖と対岸の比良山系を一望する。1998年開業と比較的新しい建物ながら、その前身は1934年開業の老舗リゾート(旧館は現存せず)で、湖畔滞在の系譜を継ぐ立ち位置にある。京と近江を歩き継ぐ二泊三日の、湖側の拠点として過不足がない。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集約では、立地の良さと客室からの眺望への評価が突出している。特に朝、湖面が朝焼けを反射する時間帯は季節を問わず印象に残る要素として繰り返し言及される。館内レストランは和食・中華・ステーキ・ブッフェの四業態を持ち、選択肢の幅は都市型ホテルに近い。ラウンジは客室を出てすぐの位置にあり、チェックインからチェックアウトまで、館内で完結する滞在も設計しやすい。
向く人 / 向かない人
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向く:
京都市内と組み合わせた二拠点滞在を望む大人、車を持たず鉄道と徒歩で近江を回りたい人、湖面と山並みを客室から見たい人 -
向かない:
建築や設計の作家性を宿選びの中心に置く人、少室数の隠れ宿的な静けさを最優先する人
具体情報
- 最寄り駅: JR大津駅より徒歩3分(無料シャトルバスあり)/京阪びわ湖浜大津駅より徒歩5分
- 客室: 全175室が湖側、25〜80㎡
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 館内4レストラン(和食・中華・ステーキ・ブッフェ)+ラウンジ
- 温泉: 最上階展望大浴場(天然温泉)
- 開業: 1998年(前身は1934年開業の琵琶湖ホテル旧館)
3日目 — 三井寺と大津の街を歩き、京都へ戻る
朝は展望大浴場で湖面を見ながら湯を浴び、朝食後、徒歩で三井寺(園城寺)へ。北院・中院・南院を通り抜けるだけで一時間以上を要する規模だが、金堂と観音堂からの眺めは大津の街全体を見下ろす価値がある。昼過ぎに大津駅へ戻り、新快速で京都駅へ。京都駅八条口の伊勢丹で土産を求めて解散、というのが編集部の想定する典型的な終わり方である。二泊とも都心徒歩圏の宿を選んだことで、荷物を持って山を上り下りする必要が一切ないのが、この旅程の最大の実務的利点である。
よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 編集部が推すのは梅雨明けから盆休みの深緑期(7月中旬〜8月上旬)です。比叡の緑が最も濃く、湖面と山の湿度が独特の光を作ります。紅葉期(11月中〜下旬)も三井寺・坂本の里坊ともに見応えがありますが、京都市内は宿の確保が難しくなります。
Q. 予約のタイミングは?
A. エースホテル京都は週末とハイシーズン(桜・紅葉・GW・盆)は3〜4ヶ月前から埋まり始めます。琵琶湖ホテルは花火大会前後(8月)と紅葉期を除けば直近でも取りやすい傾向です。連泊を組む場合、京都側から確定させるのが実務的です。
Q. 車がなくても回れますか?
A. 全行程を鉄道と徒歩で組めます。京都駅から大津駅はJR新快速で9分、大津駅から坂本は京阪石山坂本線で15分、三井寺・日吉大社・延暦寺東塔(ケーブル坂本)はすべて駅から徒歩圏またはケーブル接続です。
Q. 比叡山越えのハイキングは組み込めますか?
A. 京都側の雲母坂または修学院からの登拝道は、上級者向けで所要4〜5時間です。ハイキング日程を挟むなら、京都1泊→比叡越え→坂本の里坊で1泊→大津のように三泊四日への拡張が現実的です。二泊三日で完結させる場合はケーブル利用が前提となります。
Q. インバウンド客の利用は?
A. エースホテル京都は海外の建築・デザイン系メディアで開業時から取り上げられ、欧米・アジアの30〜40代の宿泊層が厚いです。琵琶湖ホテルは京都のオーバーツーリズムを避けたいリピーター訪日客の代替拠点として選ばれる傾向が近年強まっています。両館とも英語対応が可能です。
本記事の参考情報
・京都府観光連盟公式サイト — 京都府内の観光情報
・滋賀県観光情報公式サイト — 大津・坂本を含む滋賀県の観光情報
・Wikipedia: 比叡山延暦寺 — 世界遺産の背景
編集部から
京都と大津は、地理的には九分の距離だが、文化圏としては別の土地である。京都は町衆と朝廷、大津は湖上交通と近江商人。比叡山はその二つを分けながら繋いできた背骨のような山であり、京側の雲母坂と近江側の坂本参道は、同じ山を挟んで別々の顔を持っている。この記事で提案した連泊は、その二つの顔を同じ旅程の中で見ることに主眼を置いた。烏丸御池の街のスケール感と、浜大津の湖面のスケール感の違いを、宿の設計思想を通して感じ取ってほしい。次はどこに歩き継ぐか。