三浦半島の先端、相模湾を切り取る崖上に、ふふ ブランド初の海を望むリゾートが立ち上がった。客室はすべて 34 室、最小 58 ㎡ から最大 140 ㎡。全室がオーシャンビュー、全室に天然温泉を備える。2026 年 2 月 27 日、ふふ 城ヶ島 海風のしらべ は、観光地としてあえて選ばれてこなかった城ヶ島という土地を、首都圏至近のリトリート地として読み替えるための一軒として開いた。本記事では、設計上の素材選択、海への俯角、そして城ヶ島という場所の固有性を、編集部が現地公開情報から読み解く。
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)。

Media Picks Score: 88 / 100 34 室、海岸崖上のオールスイート温泉リゾート。
目安価格 ¥121,000–¥187,000 / 泊 (2名1室・通常期)
なぜ今、城ヶ島なのか
城ヶ島は、神奈川県三浦市の南端、本土と城ヶ島大橋一本で結ばれた周囲約 4 km の小さな島だ。古くは北原白秋の詩「城ヶ島の雨」で知られ、戦後は釣り客とドライブ客の日帰り地として認識されてきた。京急久里浜線・三崎口駅からバスで 25 分、東京駅から所要およそ 90 分。首都圏に住む大人にとって、軽井沢や箱根よりも近く、伊豆よりも到達時間が短いにもかかわらず、これまで宿泊滞在の対象として注目された記憶はほとんどない。
ふふ 城ヶ島 海風のしらべ が立つのは、その島の南西側、相模湾に向かって落ちる崖の上である。地形が劇的に変化する切り立った縁に客室を 34 室並べ、すべての室から太平洋を正面に置く配置を取った。ふふ ブランドが熱海・河口湖・箱根・京都など内陸の景観地で展開を重ねてきた中で、初めて「海そのもの」を主役に据えた一軒となる。三浦半島が選ばれた理由は、単に近いからではない。関東地方で太平洋を遮るもの無く真南に望める崖上の宿泊立地が、首都圏からの可達距離内に他にほぼ存在しないという、立地の希少性そのものに起因している。
建築 ― 海風と塩害という設計条件
城ヶ島の立地で建築を語るとき、最初に向き合うべきは海風と塩害である。年間を通じて南西からの潮風が吹きつけ、外装材・金物・サッシは内陸の倍近い腐食速度に晒される。設計者がどの素材をどう組み立てたかは、こうした条件への解答そのものとして読める。
公開情報から確認できる範囲では、客室は 7 つの間取りタイプに分けられ、最小 58 ㎡ から最大 140 ㎡ までの幅を持つ。すべての客室バルコニーが相模湾に開き、室内浴室には地下源泉から汲み上げた天然温泉を引き込む。立面は海への俯角を確保するため階段状に配置され、上階の視線が下階の屋根越しに直接水平線へ抜ける構成と推定される。これは伊豆や熱海の海岸沿いプレミアム宿で繰り返し採用されてきた設計手法だが、城ヶ島の崖は熱海より垂直に近く、客室から海面までの俯角はより鋭くなる。
編集部が現地公開資料から読み取る限り、外装は塩害対応の金物と濃色の塗装で抑えられ、内装は海の動きを反射しないマットな素材で構成される方向性が示唆される。建築単体としての主張は控えめで、視線の主役を常に「窓の外」に置く設計判断と受け止められる。建築家名は現時点で正式公表されていない。

客室と温泉 ― 34 室すべてが海と湯を持つ
客室は 58〜140 ㎡ の幅で 7 タイプが用意される。最も小さなタイプでさえ 58 ㎡ という設定は、首都圏 100 km 圏のオールスイートリゾートとして上位に属する。最大タイプの 140 ㎡ はスイートカテゴリーで、別室として独立した寝室と居間、海に向けて開く専用テラスを備える構成と想定される。家具・照明・繊維類は海の反射光を考慮した低彩度で揃えられ、客室を「展望のための装置」として読み解くことができる。
全客室に天然温泉の浴槽を備える点が、この宿の最大の差別化要素である。源泉は地下から汲み上げる新たな掘削で、療養泉と公式に分類される泉質を持つ。湯量と温度の安定供給を 34 室分すべてに確保する設備計画は、開業前後の運営期で最も注目すべきポイントの一つになる。湯を浴びながら水平線を見る、という体験を、共用大浴場の混雑なしに完結させる宿は、関東圏の宿泊価格帯で実現例が限られる。
食 ― 日本料理「汐結 SHIOYUI」
館内のメインダイニング「汐結 SHIOYUI」は 34 卓・90 席の構成で、相模湾の魚介を炭火で扱う日本料理を看板に置く。入口に生簀を据え、その日の魚を視覚的に提示してから席へ案内する流れは、観光地のホテルレストランというより、漁港に近い割烹の構成法である。朝食は 8:00 から 10:30、夕食は 18:00 から 22:00。夕食はワインと日本酒のペアリングを軸にした構成と公表されている。
三浦半島は、まぐろ水揚げで知られる三崎漁港を島の対岸に持つ。汐結の調理が「全国から取り寄せる素材」よりも「島と対岸の港から運ぶ素材」を優先するなら、この立地の必然性は食の側からも補強される。チェーン的なプレミアム宿の均質さを免れる鍵は、ここにあると編集部は見ている。
受け止められ方 ― 公開情報の集約から
2026 年 2 月開業のため、宿泊レビューの蓄積はまだ十分でない。一方、ふふ ブランドの既存 3 軒 — ふふ熱海、ふふ箱根、ふふ京都 — は公開レビューデータを集計したところ、立地と客室空間に対して安定して高い評価が確認できる宿群である。同一運営による城ヶ島が、ブランドとして初の海岸立地で同水準の運営密度を保てるかが、開業初年の論点になる。編集部としては、海風と塩害が前提となる維持運営の難度を、首都圏ブランドリゾートが初めて引き受けた事例として、今後の運営記録を観察したい。
立地と周辺 ― 城ヶ島・三崎・三浦半島
東京駅から京急本線・京急久里浜線で三崎口駅まで約 75 分、駅から路線バスで約 25 分、自家用車なら横浜横須賀道路・三浦縦貫道経由で首都高都心環状から 90 分前後で到達する。空港アクセスは羽田から車で約 90 分。城ヶ島の島内には城ヶ島灯台、馬の背洞門、馬の背の磯礁といった自然景観が点在し、対岸の三崎港にはまぐろ料理を出す店が集まる三崎下町がある。観光地らしい喧騒は控えめで、宿の外に出ても都市的な装飾はほとんど目に入らない。これが宿の静けさを成立させる条件として機能している。
こんな旅人に
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向く:
海と湯を主役にした記念日・カップル旅、首都圏在住で 1 泊から動ける大人、新規開業宿の建築を一次的に確認したい関心層、伊豆や熱海の混雑を避けたい東京在住の常連層 -
向かない:
幼児連れの家族 (オールスイートで価格帯が高く、運用も大人向け前提)、観光地巡りで宿に戻る時間が短い旅程、車を使えず公共交通だけで動きたい人 (駅からバス 25 分の追加移動が発生)
具体情報
- 所在地: 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 693
- 客室数 / サイズ: 34 室、58〜140 ㎡、7 タイプ (全室オーシャンビュー、全室天然温泉付)
- 開業: 2026 年 2 月 27 日
- 食事: 日本料理「汐結 SHIOYUI」34 卓 90 席、朝食 8:00–10:30 / 夕食 18:00–22:00
- アクセス: 京急久里浜線 三崎口駅からバス約 25 分 / 東京駅から車約 90 分 / 羽田空港から車約 90 分
- 運営: 株式会社カトープレジャーグループ「ふふ」ブランド

よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 編集部が推す時期は、梅雨入り前の 5 月下旬から 6 月上旬と、台風期を抜けた 10 月下旬から 11 月。相模湾の海色が安定し、海風が穏やかで客室テラスが長時間使える期間にあたる。盛夏は南風が強く、冬季は北西風で海況が荒れやすい。
Q. 予約のタイミングは?
A. 2026 年 2 月開業の新規宿で、開業半年目までは記念日需要と話題性の重なりで早期に埋まる傾向が見える。週末は 2〜3 ヶ月前、連休前後は半年前を目安に動くと選択肢が広い。平日は直前でも残ることが多い。
Q. アクセスは?
A. 京急本線・京急久里浜線で三崎口駅まで東京駅から約 75 分、駅から路線バスで約 25 分。自家用車は東京都心から横浜横須賀道路経由で 90 分前後、羽田空港から 90 分。駐車場は宿泊者向けに用意される予定だが、台数の詳細は公式情報を確認。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. 公式に明確な年齢制限は確認できないが、客室はオールスイート、価格帯と運営は大人向けに振られている。幼児連れの場合は事前に公式へ問い合わせることが現実的。
Q. インバウンド客の利用は?
A. 公式サイトに英語・中国語・韓国語版が用意されており、訪日客の利用を前提にした運営体制が組まれている。三浦半島は東京近郊で太平洋を望めるリゾート地として、訪日リピーター層からの関心が高まっている。
本記事の参考情報
・三浦市観光協会 — 城ヶ島・三崎エリアの観光情報
・Wikipedia: 城ヶ島 — 地理・歴史・北原白秋との関係
編集部から
ふふ 城ヶ島 海風のしらべ は、首都圏から 90 分というアクセスの良さと、関東の太平洋岸では希少な崖上立地という二つの条件が交差する場所に立つ。新規開業ゆえの未確定要素は残るが、海岸立地のプレミアム宿として運営側がどう塩害と海況を引き受けるか、開業 1 年目の答え合わせが見える宿として注目すべき一軒である。三浦という土地が首都圏のリトリート地として再定義される起点になるかどうか、編集部はその経過を追いたいと考えている。