札幌の都市ホテルを「上に積む」のではなく「上層に挿入する」設計として、2026年秋に開業を控えるハイアット セントリック 札幌を、開業前の図面から読み解く。地上26階・地下2階の複合タワー「アーバンネット札幌リンクタワー」の1階と17〜26階に、216室のホテル機能が差し込まれる。下層をオフィスが占め、ロビーは地上70メートル近い高さに置かれる。札幌駅から地下歩行空間で結ばれる立地に、ハイアットの中規模ライフスタイルブランドが初めて北の都市へ持ち込まれる——その設計思想を、稼働前のいまの段階で観察しておきたい。
※ 本稿は開業前の公表情報と設計資料に基づく観察記事である。Media Picks Score は開業前の参考指標であり、宿泊実績に基づく集約評価ではない。仕様・名称・開業時期は今後変更される可能性がある。

地上26階のうち17〜26階。札幌の都市宿は、いま「高さ」を設計の中心に据えて立ち上がろうとしている。
Media Picks Score: 89 / 100(開業前の参考指標) 216室(スイート9室)、都市型ホテル。
目安価格 未開業のため非掲載(開業後、公開販売価格の集計に基づき掲載予定)
縦に分離する——都市タワーへのホテルの挿入
このプロジェクトの設計上の核心は、ホテルが建物全体を占有しないという点にある。アーバンネット札幌リンクタワーは地上26階・地下2階の複合用途タワーで、ハイアット セントリック 札幌が使うのは1階の一部と17〜26階。中層から下はオフィス機能が占め、ホテルは高層部に「挿入」される構成をとる。エントランスを1階に置き、宿泊客はそこから一気に高層へ運ばれ、ロビーやレストランは地上70メートル近い高さで来訪者を迎える。地上から積み上げる従来型の都市ホテルとは、断面の論理が異なる。
この縦の分離は、敷地が限られた都心で容積を最大化しつつ、上層に眺望という付加価値を集約する手法である。札幌駅前の再開発が進む北一条西5丁目という一等地で、低層をビジネス動線に、上層を滞在体験に振り分ける——その割り切りが、この建築の輪郭を決めている。
石狩平野を見るための窓——北の都市の冬季設計
公表されている設計の言葉のなかで一貫しているのは、眺望への言及である。館内からは札幌市街から石狩湾までを一望できるとされ、ロビー階の高さがそのまま体験の主題になる。標高ではなく緯度の問題として、札幌の冬は日照が短く、降雪期には外気と室内の温度差が大きい。高層階に大きな窓面をとる設計は、その眺望を最大化すると同時に、結露・熱損失・西日という北の都市特有の条件と向き合うことになる。
大通公園の緑、旧北海道庁赤れんが庁舎の屋根、その先に広がる石狩平野——眼下に置かれるのは、観光絵はがき的な風景ではなく、札幌という都市の骨格そのものである。窓がどの方位に開き、冬の低い太陽をどう受けるか。開業後、客室カテゴリーごとの方位設計が、この宿の評価を分ける要素になると見ている。
ハイアット セントリックという中規模ブランドの位置づけ
ハイアット セントリックは、ハイアットのフルラグジュアリー(パークハイアット)とも、ビジネス基軸のリージェンシーとも異なる、都市探索を主題にしたライフスタイルブランドである。土地の食と文化への入り口として機能することを掲げ、画一的な高級感よりも、その都市らしさの編集に重きを置く。札幌は、このブランドが北海道へ初めて持ち込まれる土地となる。
216室は3つのカテゴリーで構成され、うち9室がスイート。多くの客室が札幌のスカイラインを望むとされる。レストラン&バーは地域の食材を取り込んだ構成、ほかにフィットネス施設と多目的イベントスペースを備える。規模としては中規模都市ホテルの枠にあり、過剰な施設の積み増しではなく、立地と眺望と土地性の編集で性格を立てる——セントリックというブランドの定石が、ここでも踏襲されると読める。
立地と周辺——地下で結ばれる都市の中心
所在地は札幌市中央区北一条西5丁目1番4。JR札幌駅から徒歩約10分、地下歩行空間で直結する。冬季に外気へ出ずに駅と宿を往復できる地下動線は、北の都市ホテルでは実用上の決定的な価値を持つ。徒歩圏には旧北海道庁赤れんが庁舎、北海道大学植物園、大通公園が並び、すすきの方面の飲食街も地下鉄一駅圏に収まる。出張と都市観光の双方の動線に、無理なく接続する位置にある。
こんな旅人に
- 札幌出張に都市観光を重ねる、デザイン・建築への関心が高い滞在者
- 高層階からの眺望を滞在の主題に据えたい人
- 国際ブランドの新規開業を、開業期の早い段階で体験したい人
- 冬季に駅から地下で完結する動線を重視する旅程
具体情報
- 所在地: 北海道札幌市中央区北一条西5丁目1番4(アーバンネット札幌リンクタワー)
- 最寄り駅: JR札幌駅から徒歩約10分(地下歩行空間直結)
- ホテル所在階: 地上26階建ての1階・17〜26階
- 客室数: 216室(うちスイート9室・3カテゴリー)
- 施設: レストラン&バー、フィットネス、多目的イベントスペース
- 開業: 2026年秋予定(建物竣工は2026年6月予定)
- 運営ブランド: ハイアット セントリック(ハイアットのライフスタイルブランド・北海道初進出)

よくある質問
Q. いつ開業しますか?
A. 2026年秋の開業が予定されている。建物(アーバンネット札幌リンクタワー)の竣工は2026年6月予定で、当初の2024年春から施工上の事情で延期された経緯がある。最新の日程は公式サイトで確認したい。
Q. 客室はビルの何階に入りますか?
A. 地上26階建てのタワーのうち、1階の一部と17〜26階がホテル機能となる。中層から下はオフィスが占め、ロビー等の共用部は高層階に置かれる構成である。多くの客室が札幌のスカイラインを望むとされる。
Q. アクセスは?
A. JR札幌駅から徒歩約10分で、地下歩行空間に直結する。冬季に屋外へ出ずに駅と宿を結べる動線が確保される。地下鉄大通駅方面、すすきのの飲食街も近い。
Q. ハイアット セントリックはどんなブランドですか?
A. ハイアットの中規模ライフスタイルブランドで、その都市の食や文化を探索する起点となることを掲げる。フルラグジュアリーのパークハイアットとは性格が異なり、土地性の編集に重きを置く。札幌は北海道で初の進出地となる。
Q. 眺望の見どころは?
A. 高層階に置かれる館内からは、札幌市街から石狩湾までを一望できるとされる。大通公園や旧北海道庁赤れんが庁舎を眼下に、北の都市の骨格そのものが眺望の主題となる。方位ごとの客室設計が開業後の注目点である。
本記事の参考情報
・Hyatt Centric Sapporo(公式) — 客室・施設・開業情報
・Wikipedia: 札幌市 — 地理・都市構造の背景
・Wikipedia: 札幌市地下歩行空間 — 地下動線の背景
編集部から
都市ホテルの設計は、いま「どこに何階を割り当てるか」という断面の編集に重心を移しつつある。オフィスの上層にホテルを挿し込み、地上70メートル近いロビーから石狩平野を見せる——ハイアット セントリック 札幌は、限られた都心容積に眺望を資源として配分する、その時代の一つの解答として立ち上がる。開業前のいま読めるのは図面と完成予想にすぎないが、稼働を待たずに輪郭を記録しておくことには意味がある。開業後、客室の方位設計と土地性の編集が、この宿の評価をどう定めるのか。北の都市プレミアムの次の章を、引き続き追っていきたい。