京都駅から新快速で九分。JR琵琶湖線が比叡を東へ抜けた途端、車窓は古都から湖国へ変わる。京都市内の東山と、琵琶湖南岸の浜大津 — その二地点を二泊三日で継ぐ宿の動線は、意外に語られない。比叡山延暦寺の表参道は京都側の雲母坂(きららざか)と近江側の坂本で別物。両側から山を仰ぐ二日間を、車を持たない大人の鉄道+徒歩で組み立てる。Day1 は清水寺の麓の元小学校、Day2 は延暦寺を歩き、坂本石積みの里を抜けて湖畔の老舗ホテルへ。編集部が選んだのは、都市プレミアムの二軒である。
| Day | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Day1 | ザ・ホテル青龍 京都清水 | 京都・東山 | 92 | 48 | ¥36–¥48k | 1933年築の元清水小学校を改装したヘリテージホテル |
| Day2 | 琵琶湖ホテル | 滋賀・浜大津 | 87 | 175 | ¥36–¥64k | 全室レイクビュー、天然温泉を併設する湖畔の老舗 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
Day 1 — 京都・東山に入る
新幹線で京都駅。タクシーで東山高台へ約十五分、八坂通の二寧坂を上ったところに、白いスパニッシュ瓦の建物が現れる。元清水小学校 — 1933年(昭和8年)築、京都市内に残る数少ない昭和初期の鉄筋校舎を、2020年にプリンスホテルがヘリテージホテルとして再生した。チェックインは午後三時。客室に荷を置いたら、清水寺へは徒歩八分。産寧坂・二寧坂・八坂の塔 — 観光客が引いた夕刻の石畳を歩き、宿に戻って屋上バー K36 から京都の街並みを見下ろす。翌朝は法観寺(八坂の塔)の朝の光を撮ってから、京阪祇園四条駅へ。
1. ザ・ホテル青龍 京都清水 — 京都・東山区
1933年築の元清水小学校を改装した48室のヘリテージホテル。校舎の意匠を残しつつ、屋上は八坂の塔を見下ろすバーになる。
Media Picks Score: 92 / 100 48室、ヘリテージホテル。
目安価格 ¥36,000–¥48,000 / 泊 (2名1室・通常期)
PHOTO: ザ・ホテル青龍 京都清水 — 公式サイトを見る →なぜ選ばれるか
清水寺まで徒歩八分、二寧坂・産寧坂の上に建つ立地が、まず一つ。次に建築 — 元清水小学校の昭和初期校舎(1933年築)を保存改装した数少ないヘリテージホテルである点。アーチ窓、階段の手すり、教室の窓枠、廊下の床材まで意匠を残し、客室は近代的に作り直された。三つ目に、屋上バー K36 と最上階のラウンジから望む京都市街の眺望 — 八坂の塔、京都タワー、東山の稜線が一望できる。観光ピークの東山で、最も静かに京都の朝夕を観察できる位置取りである。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、立地と建築意匠への評価が突出して高い。校舎時代の素材を残した廊下や階段、客室内のスタンダードを超えた天井高、屋上バーからの景観に対する記述が多い。料飲面では朝食ビュッフェの構成について好意的な記述と、価格帯に対する慎重な記述が混在する。客室は一部に小さめのカテゴリーがあり、スーペリア以上を選ぶと天井高と窓の取り方の差が体感しやすい、というのが集約された傾向である。
向く人 / 向かない人
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向く:
建築・歴史的近代建築に関心がある旅、清水寺を朝夕に歩きたい二泊三日の起点、屋上バーで京都の暮れ方を観察したい大人ふたり旅 -
向かない:
観光地巡りで宿に戻る時間がほぼ取れない弾丸旅程、京都駅徒歩圏の利便性を最優先する出張、価格帯に対して旅館式の手厚い接客を期待する人
具体情報
- 最寄り駅: 京阪電鉄 祇園四条駅から京都市バス207系統(のりばA 東行き)で「清水道」下車徒歩4分、清水寺まで徒歩約8分
- 客室サイズ: 42〜137㎡(全48室、上層階にパノラミックスイート含む)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜12:00
- 食事: 朝食ビュッフェ(レストラン「restaurant library the hotel seiryu」)、屋上バー「K36 The Bar & Rooftop」
- 開業: 2020年3月(校舎は1933年築・元京都市立清水小学校)
Day 2 — 比叡を越えて、近江へ
京阪祇園四条駅から出町柳へ約六分、叡山電鉄に乗り換えて八瀬比叡山口で下車。叡山ケーブル・ロープウェイで比叡山頂へ上り、東塔・西塔・横川の延暦寺三塔を歩く。徒歩は休憩込みで三〜四時間。下山は坂本側のケーブルカーを選ぶ — 京都側で上り、近江側で降りる二大寺往復路は、平安期以来の修行道に重なる。坂本ケーブル延暦寺駅から坂本駅へは約十一分。麓に降りると、坂本石積みの里、日吉大社、慈眼堂 — 比叡の門前町としての近江坂本が広がる。穴太衆(あのうしゅう)積みの石垣が町中に残るのは、ここ以外に類例がない。JR坂本比叡山口駅から琵琶湖線で大津駅、そこから京阪石山坂本線で浜大津へ。湖畔の宿に十七時頃に到着する想定で、夕食は宿内の鉄板焼「おおみ」やイタリアンダイニング「ベルラーゴ」で近江牛や湖魚を採るのが標準コースになる。
2. 琵琶湖ホテル — 滋賀・大津市浜町
全175室すべてが琵琶湖を望むレイクビュー。京阪びわ湖浜大津駅から徒歩5分、天然温泉と最上階クラブラウンジを併設する湖畔の老舗。
Media Picks Score: 87 / 100 175室、湖畔リゾートホテル。
目安価格 ¥36,000–¥64,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
全客室が琵琶湖に面する作りで、視界を東に開く設計が一つ目の選定理由。二つ目に、4階の天然温泉大浴場「瑠璃温泉 るりの湯」(展望露天風呂と内湯)を擁する点 — 湖を眺めながら入る単純温泉(低張性弱アルカリ性低温泉)は、街中のシティホテルでは得難い体験になる。三つ目に、JR大津駅から無料シャトル、京阪びわ湖浜大津駅から徒歩五分という鉄道アクセスの良さ。京都駅からは新快速で十分、車を持たない旅人の連泊地として組みやすい。京阪ホテルズ&リゾーツが運営し、客室・料飲・温泉の三本柱が動線上で完結する規模感を備える。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、レイクビューの開放感と温泉への評価が中核を占める。朝の湖面が紅く染まる時間帯の眺望、夕刻の比叡山シルエットの記述が多く、客室タイプによる景観差はあまり大きくないという読み取りができる。料飲は鉄板焼・日本料理・イタリアンの選択肢があり、近江牛を扱うレストランへの言及が目立つ。築年数相応に内装の細部の印象差は出るが、温泉と眺望の力学が全体の評価を引き上げている、というのが集約された傾向である。
向く人 / 向かない人
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向く:
比叡山下山後に湖畔で湯を浴びたい旅程、車を持たない鉄道+徒歩の旅人、京都の喧騒から二泊目を静かに切り離したい大人ふたり旅 -
向かない:
築年に対する最新建築のしつらえを最優先する人、徒歩で繁華街の店を選びたい旅(浜大津は商業集積が限定的)、夜に湖畔以外の場で食事をしたい計画
具体情報
- 最寄り駅: 京阪びわ湖浜大津駅 徒歩約5分、JR大津駅から無料シャトルバス約5分
- 客室サイズ: 全175室、すべてレイクビュー(スタンダード〜スイート)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00(クラブフロアは14:00〜)
- 食事: 日本料理「おおみ」、鉄板焼「おおみ」、天麩羅「おおみ」、イタリアンダイニング「ベルラーゴ」、レストラン「ザ・ガーデン」。朝食ビュッフェあり
- 温泉: 4階 天然温泉大浴場「瑠璃温泉 るりの湯」(展望露天風呂・内湯)
- 運営: 京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社
Day 3 — 湖国を一日歩いて、京都へ戻る
三日目の朝、湖畔を散歩してから朝食。京阪石山坂本線で石山寺(紫式部「源氏物語」の起筆地と伝わる)まで二十分、または瀬田の唐橋を渡って近江国庁跡まで足を伸ばす。湖南の景観を一巡したら、JR大津駅から新快速で京都駅へ九分、新幹線で帰路につく。比叡を西から見上げた一日目、東から見上げた二日目、近江南岸を歩いた三日目 — 同じ山を二方向から仰ぐ二泊三日が完結する。
よくある質問
Q. 比叡山延暦寺は半日で歩けますか?
A. 東塔・西塔・横川の三塔を結ぶ巡拝コースは、徒歩で休憩込み三〜四時間が目安。バス併用なら東塔の根本中堂と西塔の釈迦堂で約二時間に短縮できる。京都側ケーブル+ロープウェイで上り、坂本側ケーブルで降りる東西縦断は所要五時間ほど。本記事の動線はこの東西縦断を採っている。
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 編集部が推すのは梅雨明けから盆休み前(7月下旬〜8月上旬)。比叡山頂は標高八百メートル超で平地より三〜四度低く、緑が最も深い時期。湖面の光が澄み、夕刻の湖畔の温度と湿度が下がる。盆休みと紅葉期は宿の取得難度が上がる。
Q. 京都と大津の間は本当に近いのですか?
A. JR京都駅から新快速で大津駅まで九分、京阪三条駅から京阪京津線・石山坂本線で浜大津駅まで約二十六分。京阪びわ湖浜大津駅から京都市営地下鉄東西線(京阪京津線直通)で京都市内にも入れるため、二都市の連泊動線は実務的にも組みやすい。
Q. 車を借りなくても大丈夫ですか?
A. 本記事の動線はすべて鉄道・ケーブルカー・徒歩で完結する。京都市内・比叡山・坂本・浜大津・石山寺 — どの地点も最寄り駅徒歩圏。荷物が多い場合は宿〜宿の宅配便を併用すると、比叡山を歩く二日目が身軽になる。
Q. インバウンド客の利用は?
A. ザ・ホテル青龍は清水寺至近のヘリテージホテルとして海外旅行者の利用が多く、英語対応が標準。琵琶湖ホテルは京阪ホテルズ&リゾーツの主要施設として英語・中国語の案内が整う。両宿とも訪日リピーター層の比叡山参詣ルートとして組まれる事例が増えている。
本記事の参考情報
・比叡山延暦寺 公式サイト — 三塔の参拝順路、ケーブル時刻、季節情報
・びわ湖大津観光協会 — 坂本・浜大津・石山寺の最新情報
・Wikipedia: 坂本(大津市) — 穴太衆積みの石垣と門前町の地理的背景
編集部から
京都と大津は、新快速で九分。物理的にこれだけ近い二都市が、宿の連泊動線としてはほとんど連続して語られない。理由の一つは、京都泊と大津泊が「観光地」として別カテゴリーに分類されてきたから。だが比叡山延暦寺を起点に置き直すと、京都側と近江側は同じ山の表裏に過ぎず、二泊三日で一連の旅程として完結する。Day1 は東山高台のヘリテージ建築、Day3 は湖国の朝。挟まれた二日目の比叡山徒歩東西縦断が、この旅の骨格を作る。次に編集部が組みたいのは、京都市内 + 宇治の二都市連泊、もしくは京都 + 奈良の連泊 — 京阪沿線でほぼ完結する大人ふたり旅の動線である。