奥飛騨温泉郷を平湯から新穂高へ北上しながら、木造の湯屋を守り続ける宿を5軒選んだ。北アルプスの西麓、標高千メートル前後の谷に、平湯・福地・新平湯・栃尾・新穂高という五つの湯が点在する。年間の積雪が数メートルに達するこの土地で、湯屋は雪の荷重と湯気の抜けという相反する条件を、深い軒と太い梁、そして小屋組の高さで解いてきた。今回は独立系の木造宿を軸に、浴室そのものが建築として読める一軒を各温泉地から拾っている。外気と湯温の差がもっとも効く初秋、紅葉が谷を降り始める頃を目安に組んだ道順である。
| # | 宿 | 温泉地 | Score | 客室 | 目安価格 | 湯屋の特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | もずも | 平湯温泉 | 90 | 10 | ¥50–84k | 木造平屋。石畳の先に据えた木桶の共同露天と、全室の総檜または御影石の露天 |
| 2 | 山里のいおり 草円 | 福地温泉 | 91 | 15 | ¥56–68k | 大浴場「福の湯」は木造クレ葺きの独立した湯小屋。脱衣室・洗い場・湯船を別室に分ける |
| 3 | 湯元 長座 | 福地温泉 | 92 | 27 | ¥77–90k | 裏山から切り出した丸太で組んだ内湯。館外の杜にも離れの貸切露天が点在する |
| 4 | ひなの湯宿 松乃井 | 新平湯温泉 | 85 | 全室和室 | ¥44–55k | 貸切「なごみ」は空間すべてを木で構成。対する「ゆらぎ」は煉瓦造りで質感を振り分ける |
| 5 | 槍見の湯 槍見舘 | 新穂高温泉 | 93 | 15 | ¥54–66k | 蒲田川の岩盤を浴槽に取り込む。内湯2・露天7を木造2階建の一軒宿が抱える |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
1. もずも — 平湯温泉
四千坪の林に木造平屋を10室だけ伏せた、奥飛騨の入口にあたる一軒。
Media Picks Score: 90 / 100 10室、木造平屋建ての温泉旅館。
目安価格 ¥50,000–¥84,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
平湯温泉の奥、林に囲まれた敷地に木造平屋を伏せ、10室に絞った構えである。宿名は乗鞍から流れる毛受母川に由来する。理由は三つ。第一に、共同露天は建屋を立ち上げず、石畳と板塀と木桶だけで湯を囲う引き算の構成であること。第二に、全室が総檜または御影石の露天を備え、素材が二系統に整理されていること。第三に、200メートル先の自家源泉「山の湯」を循環も加温も加水もせずに落とし、飲泉許可まで取っている点。湯の扱いと建築の抑制が同じ方向を向いている。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、静けさと客室の独立性への評価が安定して高い。全室に露天が付くため大浴場に出る必然がなく、滞在中ほとんど人と会わないという趣旨の傾向が繰り返し現れる。料理は飛騨牛を軸にした会席で、量より構成を評価する声が優勢。一方で、鉄分を多く含む泉質ゆえ湯が茶褐色に濁る点は好みが分かれ、透明な湯を期待した層との間に温度差が見て取れる。宿側も湯の華の沈殿について公式に説明を置いている。
向く人 / 向かない人
-
向く:
客室内で湯浴みを完結させたい二人旅、上高地・乗鞍・新穂高を平湯から放射状に回る旅程、源泉の状態を優先する人 -
向かない:
無色透明の湯を求める人(鉄分により茶褐色に濁ることがある)、大浴場の広さを重視する旅、賑わいのある温泉街歩きを主目的とする滞在
具体情報
- アクセス: 平湯バスターミナルより徒歩8分(送迎あり・要予約)
- 客室: 「森羅」和室10畳+寝室8畳+露天/28㎡、「縁壽」和室8畳+寝室8畳+露天/24㎡。露天は総檜または御影石
- 浴室: 共同露天は男女各1、利用時間15:00〜翌9:30
- 泉質: 自家源泉「山の湯」ナトリウム炭酸水素塩泉。加水・加温・循環・塩素処理なし、飲泉許可あり
- 食事: 飛騨牛を主軸とした会席。「森羅」は部屋食対応、「縁壽」は個室食事処
- 周辺: バスで上高地30分、新穂高ロープウェイ30分、飛騨高山60分
2. 山里のいおり 草円 — 福地温泉
1836年の飛騨の民家を移し、湯屋を母屋から切り離して建てた登録有形文化財の宿。
Media Picks Score: 91 / 100 15室、木造2階建ての温泉旅館。
目安価格 ¥56,000–¥68,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
本記事の5軒で、建築としての格がもっとも明快な一軒である。母屋は飛騨国清見村大原に1836年に建てられた大型民家を、2004年春に解体して移し、切妻入母屋造りのまま再生したもの。国の登録有形文化財にあたる。湯屋の扱いも独特で、大浴場「福の湯」は母屋から切り離した木造クレ葺きの湯小屋とし、脱衣室・洗い場・湯船をそれぞれ隣り合う別室に分けている。豪雪地で身体を冷やさないための分節であり、意匠ではなく機能から出た構成だと読める。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、建物そのものへの言及が他館より明らかに多い。梁や柱の太さ、土壁の質感、囲炉裏を囲む食事処といった空間側の記述が評価の中心を占める。露天「森の湯」については、神岡鉱山で使われていた鉄釜を転用した円形の「釜湯」と、巨石を組んだ「岩湯」を男女で入れ替える運用が印象に残るという傾向。一方、古い木造建築ゆえの段差や、エレベーターを持たない構造に触れる声も一定数あり、脚力への配慮が必要な滞在では確認が要る。
向く人 / 向かない人
-
向く:
日本の民家建築を目的に据えた旅、囲炉裏端での食事に価値を置く人、湯屋の構成そのものを見に来る建築・意匠の関心層 -
向かない:
客室に露天を求める人(露天風呂付き客室の設定はない)、階段や段差の負担を避けたい滞在、新しく均質な設備を望む旅
具体情報
- 客室: 全15室。「草庵」8室(持ち山の木で建て、珪藻土の土壁に柿渋塗装)、「木庵」5室(新潟の豪農屋敷を移築再生・平湯川を望む)、「煙香庵」2室
- 建築: 母屋は1836年建築の飛騨の民家を2004年春に移築再生。切妻入母屋造り・木造2階建て、国の登録有形文化財
- 浴室: 大浴場「福の湯」は木造クレ葺きの湯小屋。露天「森の湯」は「釜湯」「岩湯」の2槽で、20:00〜20:30に男女入替(宿泊者専用)
- 泉質: 地下300mから汲み上げる自家源泉「福の湯」(ナトリウム炭酸水素塩泉)と福地温泉共有源泉(単純泉)
- チェックイン: 15:00〜17:00 / アウト 〜11:00
- 食事: 囲炉裏を囲む炉端の食事処。竈で炊いた飯
3. 湯元 長座 — 福地温泉
六千坪の敷地に古民家を13軒集めて組み直し、内湯は裏山の丸太で挽いた宿。
Media Picks Score: 92 / 100 27室、木造の温泉旅館。
目安価格 ¥77,000–¥90,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
敷地六千坪に古民家13軒を移築して組み直した、奥飛騨でも例の少ない規模の木造宿である。主人が各地で150年以上の農家を見聞し、昭和の頃に集めた素材を現在の館に落とし込んだという成り立ちで、ロビーの梁と柱、磨かれた板戸がその来歴を示す。湯屋の主役は大湯の内湯で、裏山から切り出した丸太を組んだ木の湯船。木は源泉の角を丸め、肌当たりを柔らかくする。加えて館外の杜には離れの貸切露天が点在し、一度玄関を出て小径を歩いてから湯に入るという動線を持つ。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯の種類の多さと貸切風呂の運用に評価が集まる。家族風呂3か所が予約制ではなく、空いていれば何度でも使える方式であること、そして館外の露天まで含めた湯の数と密度が滞在の満足を押し上げている。炉端で供される山野料理も支持が厚い。留意点として、館は山の斜面に建ち、食事処までに数段の段差がある旨を宿側が明記している。また2026年時点で福地温泉の共有源泉に不調があり、大浴場露天の岩風呂部分のみ利用が制限され、木風呂部分を含むその他の浴槽は通常通り利用できるという案内が出ている。
向く人 / 向かない人
-
向く:
一泊で湯を巡りたい人、囲炉裏と炉端料理を旅の中心に置く滞在、木造建築のスケール感を体で測りたい建築関心層 -
向かない:
段差を避けたい滞在(斜面立地で食事処までに数段あり)、大浴場の露天を必須とする旅(共有源泉の不調により岩風呂部分が利用制限中。木風呂部分は通常営業)、静粛性を最優先する少室数志向の人
具体情報
- 客室: 27室。「欅の家」10畳+囲炉裏+桧の内風呂、「松の家」10畳+囲炉裏+ツインベッド、「桐の家」10畳+囲炉裏、「栗の家」「栃の家」10畳+火鉢、「楢の家」10畳和室
- 建築: 敷地約6,000坪に古民家13軒を移築。築150年の豪農屋敷を核とする
- 浴室: 裏山の丸太で組んだ大湯の内湯、露天併設の家族風呂3か所(無料・予約制ではなく15:00〜翌10:00に空いていれば何度でも)、館外「泉韻の杜」に「雫の湯」壱〜伍と「かわらの湯」
- 泉質: 大浴場はナトリウム炭酸水素塩泉、かわらの湯はナトリウム塩化物炭酸水素塩泉
- チェックイン: 15:00〜18:00 / アウト 〜10:00
- アクセス: 玄関前が「福地ゆりみ坂」バス停。JR高山駅からバスで約70分
4. ひなの湯宿 松乃井 — 新平湯温泉
木と煉瓦、二つの貸切湯屋で質感を振り分けた新平湯の全室和室宿。
Media Picks Score: 85 / 100 全室和室、純和風の温泉旅館。
目安価格 ¥44,000–¥55,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
五つの湯のうち、新平湯は宿の性格がもっとも幅広い。その中で松乃井を採ったのは、二つの貸切湯屋で素材を意識的に振り分けているからである。「なごみ」は空間のすべてを木で構成し、桧を随所に用いたうえで、露天には樽のような丸い湯船を置く。対する「ゆらぎ」は壁も浴槽も煉瓦造りで、露天には信楽焼の湯舟を据えた。木と土という異なる系統を、同じ宿の中で並置している。ロビーは300年以上前の農家をリノベーションしたもので、地域の型を踏まえた造りになっている。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、部屋食と貸切風呂を組み合わせた「人と会わない」設計への評価が中心にある。大浴場「鄙の湯」は男女それぞれ専用で、いずれも露天付き。深夜を通して翌朝9時30分まで使える運用が、湯に時間を割きたい層と噛み合っている。料理は飛騨牛と山の幸を部屋で供する形式で、静けさを求める旅程との親和性が高い。留意点としては、貸切風呂が45分2,200円の有料制であること、到着順の受付で希望時間が取れない場合がある旨が公式に案内されている。
向く人 / 向かない人
-
向く:
価格を抑えつつ湯屋の質を落としたくない旅、部屋食で完結させたい二人旅、素材の異なる浴室を一泊で比べたい人 -
向かない:
貸切風呂を無料で何度も使いたい人(45分2,200円・到着順受付)、移築古民家そのものを目的とする旅、客室露天を必須とする滞在
具体情報
- 客室: 全室和室。10畳が標準、12.5畳の角部屋あり
- 浴室: 大浴場「鄙の湯 やまどり」(男性専用)「なでしこ」(女性専用)ともに露天付き、15:00〜翌9:30。貸切「なごみ」「ゆらぎ」は45分2,200円
- 泉質: 単純温泉(低張性中性高温泉)、源泉温度60.5℃
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 飛騨牛と山の幸を部屋食で。湯上がりサロン「風待処」に飲物のサービスあり
- 所在: 高山市奥飛騨温泉郷一重ケ根202-124(新平湯温泉)
5. 槍見の湯 槍見舘 — 新穂高温泉
蒲田川の岩盤をそのまま浴槽に取り込み、内湯2・露天7を15室で抱える一軒宿。
Media Picks Score: 93 / 100 15室、木造2階建ての古民家造り一軒宿。
目安価格 ¥54,000–¥66,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
本記事で最も高いスコアを与えた一軒である。理由は湯の量にある。毎分500リットル、源泉温度63℃という条件が、内湯2・露天7という浴槽数を可能にした。木造2階建の一軒宿がこれだけの湯を抱えると、湯屋は一棟に収まらず、蒲田川沿いに分散する。混浴露天「槍見の湯」は川べりの岩盤をそのまま利用し、晴れた日には谷の向こうに槍ヶ岳が立つ。宿はこの湯を「決して近代的とは言えず、快適性にも優れていません」と自ら記す。設備の完成度ではなく、地形と湯量に建築を従わせた結果としての湯屋である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、露天のバリエーションと開放感が評価の軸を占める。4つの貸切露天が無料で、扉の札を外して施錠する素朴な方式であること、混浴露天に湯あみ着が用意され7:00〜9:00は女性専用になることなど、運用の細部への言及が多い。循環も塩素消毒も行わない湯そのものへの支持も厚い。一方で、木造建築という条件から10月〜3月にかけて虫が入る場合がある旨を宿側が公式に説明しており、この点で評価が分かれる。
向く人 / 向かない人
-
向く:
湯量と源泉の鮮度を最優先する人、新穂高ロープウェイや北アルプス登山を組み込む旅程、露天を数多く巡りたい滞在 -
向かない:
設備の新しさと快適性を重視する旅(宿自身が近代的でないと明記)、虫の侵入を許容しがたい人(10〜3月は発生する場合あり)、小学生以下を連れて離れ客室を使いたい家族(離れは小学生以下利用不可)
具体情報
- 客室: 全15室。「和モダンタイプ」「民芸調タイプ」(太い梁を活かした古民家造り、囲炉裏端付きの型もあり)、バリアフリー対応の内湯付き和洋室1室、露天風呂付きの土蔵造り離れ2棟
- 浴室: 内湯2・露天7。混浴露天「槍見の湯」「まんてんの湯」、女性専用露天「岩見の湯」、無料の貸切露天4つ(ほたる・渓流・播隆・森)
- 泉質: 単純温泉/炭酸水素塩泉。自家源泉1本+共同源泉1本、湧出量毎分500リットル、源泉温度63℃。循環・塩素消毒なし
- チェックイン: 15:00〜17:00 / アウト 〜11:00。浴室は到着から翌10時まで利用可
- アクセス: 新穂高ロープウェイまで車で約5分、上高地行きバス乗換駐車場まで約20分、松本ICから約1時間10分
- 日帰り入浴: 10:00〜14:00(最終受付13:30)、大人800円(休止日あり)
よくある質問
Q. 奥飛騨温泉郷の五つの湯は、どう違いますか?
A. 平湯は乗鞍岳の麓にある古い湯で、バスターミナルを持つ玄関口にあたります。福地は平安期の村上天皇の療養伝承から「天皇泉」とも呼ばれ、移築古民家の宿が集まる11軒だけの集落。新平湯は民宿から旅館まで宿の幅が広く、栃尾は蒲田川の河原に共同露天「荒神の湯」を持つ素朴な湯里です。最奥の新穂高は湧出量が豊かで露天の数が多く、北アルプスへの登山口を兼ねます。
Q. 湯屋建築を目的に巡るなら、どの季節が向きますか?
A. 編集部が推すのは初秋から晩秋です。標高千メートル前後のため紅葉は10月に谷を降り、外気と湯温の差が大きくなるほど湯気の抜けや軒の深さといった構造の意図が体感しやすくなります。厳冬期は雪の荷重に対する架構が最も明快に読めますが、11月中旬から4月上旬は路面の積雪と凍結があり、冬装備が前提になります。
Q. 5軒を一度に回ることはできますか?
A. 平湯から新穂高までは車で30分程度の範囲に収まります。ただし宿はいずれも一泊の滞在を前提とした造りで、湯屋を見て回るだけであれば日帰り入浴を受け入れる館を組み合わせる方が現実的です。槍見舘は10:00〜14:00(最終受付13:30)に日帰り入浴を実施しています(休止日あり)。栃尾温泉の共同露天「荒神の湯」も途中の立ち寄り先になります。
Q. 公共交通だけで行けますか?
A. 行けます。JR高山駅から路線バスで平湯温泉バスターミナルへ入り、そこから福地・新平湯・栃尾・新穂高方面のバスに乗り継ぐ流れです。長座は「福地ゆりみ坂」バス停が玄関前、もずもは平湯バスターミナルから徒歩8分。時間帯によって停留所が変わる場合があるため、送迎の可否も含めて予約時に確認しておくと安全です。
Q. 宿泊税はかかりますか?
A. 高山市では2025年10月1日から宿泊税が導入されています。宿泊税と入湯税はカード決済や事前決済の対象外とする宿があり、長座は現金での支払いを求める旨を公式に案内しています。滞在費とは別に現金を用意しておくと手続きが滞りません。
本記事の参考情報
・奥飛騨温泉郷観光協会 — 五つの温泉地の泉質・共同浴場・エリアの成り立ち
・福地温泉観光協会 — 福地温泉11軒の客室数・チェックイン時刻
・平湯温泉観光協会/平湯温泉旅館協同組合 — 平湯温泉の宿一覧
・岐阜県観光公式サイト「岐阜の旅ガイド」 — 施設概要と交通
・Wikipedia: 奥飛騨温泉郷 — 地理と沿革の背景
編集部から
五つの湯を平湯から新穂高へ辿ると、湯屋の形が土地の条件に沿って少しずつ変わっていくのがわかる。平湯では建屋を立てずに石と板塀で湯を囲い、福地では母屋から切り離した独立の湯小屋を建て、新穂高では川の岩盤をそのまま浴槽の縁に使う。共通しているのは、湯屋が意匠として先にあるのではなく、湯量・泉温・積雪・地形という与件への応答として立ち上がっている点である。だからこの地域の湯屋は、洗練よりも合理に近い。栃尾に旅館規模の宿を置かなかったのも、無理に格を揃えないという編集上の判断である。次は同じ視点を、雪の重さがさらに増す北陸や東北の湯屋に向けてみたい。木は、どこまで湯と雪に応えられるのか。
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・岩風呂と檜風呂 — 浴槽素材を選び切る宿 5軒、湯と素材が交わる温度域の設計
・継手と仕口 — 釘を使わない木組みを、客室の梁と柱で読む宿 5軒
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