温泉建築
元湯 陣屋 — 神奈川・鶴巻温泉、松岡家が継ぐ数寄屋普請と一万坪の庭園を建築として読む
大正七年、三井「平塚園」に始まる神奈川・鶴巻温泉の元湯陣屋。松岡家が継ぐ16室の数寄屋、約一万坪の日本庭園、二種の源泉、そして経営再構築までを一軒で読む。
木造多層の湯宿を一軒 — 積善館・四万温泉、階段と渡りが繋ぐ垂直の浴場動線を断面で読む
斜面に木造三層を積む四万温泉・積善館を単館で読む。元禄四年(1691)建築の本館は群馬県重要文化財。元禄の湯から山荘・佳松亭へ、階段と渡りとトンネルが浴場を垂直に繋ぐ動線を、秋口の谷を背景に断面から辿る。
酸ヶ湯温泉 ヒバ千人風呂 — 柱を一本も立てず天井高5mを架ける、総ヒバの湯屋を一軒で読む
八甲田西麓の一軒宿に、柱を一本も立てず約160畳を架けた総ヒバの大浴場。熱の湯・冷の湯・四分六分の湯・湯滝の4源泉を一室に収める酸ヶ湯のヒバ千人風呂を、温泉建築として読む。
砂を被るという浴法 — 砂蒸し・砂湯の建築を持つ宿 5軒、湯気と砂の重さを設計する
地熱で温めた砂を身体に被せる砂蒸し・砂湯を、館内あるいは至近に持つ宿として指宿と別府から5軒を選定。敷地に砂むし場を持つ指宿白水館、館内に砂むしを備える指宿海上ホテルなど、砂と建築の関係を読む。
湯の花が積もる浴槽 5軒 — 析出物が縁と底を覆っていく、温泉が石を造り変える時間の設計
炭酸カルシウムや硫黄が湯口と浴槽の縁に堆積し、器そのものを造り変えていく——析出を建築として読む温泉宿5軒。大分・長湯の純炭酸泉、秋田・乳頭の硫黄泉と含鉄泉、北海道・二股の石灰華ドーム。室数・築年・泉質を添えて紹介する。
湯小屋の屋根を茅で葺く宿 — 越屋根・銅板・檜皮ではなく、最も古い屋根材を選び続けるという判断
越屋根でも銅板でもなく、最も古い屋根材である茅を湯屋に葺き続ける三軒——秋田・鶴の湯温泉、群馬・悠湯里庵、福島・分家。二十年周期の葺き替えを経営に組み込むという静かな設計を読む。
飲泉場を構える宿 — 口に含むために設けられた湯口の小建築 3軒
湯に浸かるためではなく口に含むために設えられた「飲泉場」。長湯・四万・蔵王 峩々の三軒に、飲むための湯口の建築を読む。
伊豆高原から熱海へ、湯屋に水盤を挟む宿 5軒 — 浴場と外景のあいだに静水面を置き、湯を二度見せる設計
隈研吾『水/ガラス』を筆頭に、湯面・水盤・相模灘を三層に重ねる熱海の温泉宿5軒。浴場と外景のあいだに静水面を挟む視線設計を、縁の納まりから読む。
四万温泉 積善館 — 元禄4年築、日本最古の湯宿建築と『元禄の湯』アーチ窓浴場を一軒で読む
元禄4年(1691年)築の本館、昭和5年築の五連アーチ窓浴場『元禄の湯』、国登録有形文化財4棟。群馬・四万温泉 積善館を温泉建築の視点で読み解く単独深掘り。
湯口の高さを読む宿 5軒 — 湯船の縁と源泉吐出口の落差を、耳と目でどう設計するか
湯船の縁と源泉吐出口のあいだにある20〜80cmの落差が、湯屋の音と手触りを決める。東北・信越の自噴源泉宿から、湯口の意匠と落差設計に読みごたえのある五軒を選んだ。木樋・自然石・多層分水——温泉建築の勘所を、耳と目で読む一編。