静岡県
階段という設計 — 客が昇り降りする数段を、宿はどう意匠化しているか
階段は廊下より雄弁である。エレベーターを持たない低層の宿を、その垂直動線から読み直す。萬翠楼福住・arcana izu・NIPPONIA福住の3軒を観察。
湯あがりの一室 5軒 — 涼み処・休憩室という、浴場と客室のあいだの第三空間
湯から上がった身体が外気と再会する数十秒。浴室と客室のあいだの「涼み処」という第三空間を、全国の温泉建築5軒から読む。築年と室数で観察する湯あがりの設計。
茶請けという余白 — チェックイン直後に供される一服を、宿はどう設計するか
客を客室に通したのち、夕食までのあいだに供される一服の茶と甘味。京都・俵屋旅館と伊豆・修善寺のあさば、二つの老舗を手がかりに、滞在の最初の余白を宿がどう設計しているかを観察する。
朝食の様式 — 一の膳の朝粥、洋皿のフルーツ、汁物だけの椀、宿が朝に編集するもの
高級旅館の朝食は、夕食の余韻をどう畳むかという編集である。洋皿の果物を先付けする明神館、本式を朝まで通すあさば、朝粥と汁物で引き算する妙見石原荘 — 三軒の朝の膳から、宿が朝に編集するものを読む。
椀盛という設計判断 — 蓋を開ける一瞬を、宿はどの器・どの汁・どの香りで設計しているか 5軒
会席の中盤に置かれる椀盛は、料理長の最も繊細な判断が現れる場面。器・出汁・椀種という設計判断を軸に、輪島椀・京漆器の産地差まで射程に入れて選んだ高級旅館5軒。
露天風呂を囲うもの 5軒 — 竹垣・簓子塀・木塀、湯と外をどの高さで遮るか
露天風呂の「囲い」――竹垣・簓子塀・下見板・渓谷の地形。湯と外界をどの高さ・素材で遮るかという一点で、箱根・伊豆・由布院の温泉建築5軒を読む。
石を積む宿 5 軒 — 大谷石・鉄平石・玄昌石を外装に纏う建築
外壁・アプローチ・塀という乾いた石の使い方に着目。栃木の大谷石、長野の鉄平石、宮城の玄昌石を建築に纏うデザイン宿5軒を、産地と施工面という観点から選んだ。
聚楽壁と版築 — 浴室の壁に土を塗るという、湿度との闘いを建築の側から読む
湿度100%に近づく浴室で、なぜ宿は壁に土を塗るのか。聚楽壁・大津磨き・版築の三系統を、あさば・山荘 無量塔・おやど 二本の葦束を手がかりに読む建築エッセイ。
下田・河津から南伊豆へ — 太平洋に面した、室数10以下の海辺の隠れ宿 5軒
下田・河津・南伊豆の海岸線に建つ、室数4〜8の海辺の小宿5軒。崖の上、丘の斜面、波打ち際——海との距離の取り方で性格が分かれる。地図とともに北から南へ。
浴室の天井素材 — 網代・木舞・銅板・漆喰、湯気と対話する屋根裏 5軒
浴室の天井は、湯屋建築のなかで最も働き続ける部位の一つ。網代・木舞下地の漆喰・銅板・檜格天井・左官の鏝引きで湯気と対話する屋根裏を持つ、5軒を編集部が選びました。