温泉建築
湯屋を設計として残す宿 — 梅雨明けに訪れたい温泉建築の五軒 (2026 年夏)
湯舟ではなく「湯屋」を持つ宿は限られる。長野・松本の Relais & Châteaux、熱海七湯を引く 1806 年創業、黒川 1722 年御用宿、谷川岳借景の十八室、奥湯沢の目の湯まで、湯のために空間が決まっている五軒。
湯小屋の屋根を茅で葺く宿 — 越屋根・銅板・檜皮ではなく、最も古い屋根材を選び続けるという判断
茅葺き湯小屋を維持する3軒の宿を、エッセイで読む。福島・高湯の旅館 玉子湯、群馬・川場の悠湯里庵、大分・別府明礬の岡本屋。葺き替え20年周期、職人不足の時代に「最も古い屋根材」を選び続ける経営判断について。
鳴子・東鳴子から川渡へ — 玉造の谷に泉質が変わる、木造湯屋の宿 5軒
宮城・鳴子温泉郷は数キロの谷あいで泉質が幾度も変わる稀な温泉地。鳴子から東鳴子、川渡へと玉造の谷を下りながら、硫黄泉・重曹泉・含硫黄食塩泉を木造の湯屋とともに渡る5軒を、泉質と立地で分散選定した。
懸造の湯屋を一軒 — 会津東山温泉・向瀧、渓谷の斜面に柱を立て浴場を宙に張り出す木造の構造を読む
明治六年(一八七三)創業、登録有形文化財第一号の会津東山温泉・向瀧。渓谷の急斜面に束柱を立て浴場を宙へ張り出す懸造の湯小屋を、構造と運用の両面から断面で読む単館deep_dive。
湯気抜きの越屋根を読む宿 5軒 — 屋根の上に小屋根を載せ、湯気を空へ逃がす換気の意匠
木造の湯屋では湯気をどう逃がすかで建築の輪郭が決まる。屋根の棟に一段高く小屋根を載せる越屋根を持つ温泉旅館を、東北・信越の5軒に読む。国登録有形文化財級の木造湯屋建築を中心に、梅雨どきの結露期に建築を観察する。
湯田中・渋温泉郷から志賀高原へ — 木造湯屋と高原リゾートが同居する北信濃の浴場建築 5軒
長野県山ノ内町、湯田中・渋温泉郷から奥志賀高原まで標高差を一筋にたどり、低地の木造湯屋と高原型リゾートが同居する北信濃の浴場建築を5軒。寛永期の館内九湯から、標高1,500mに載る地上4階露天まで。
掛け湯場という前儀 — 湯船に入る前の一杯を据える、浴場の手前の小建築 5軒
湯船に身を沈める前に湯を掛ける、その所作のための一角を独立して設えた温泉宿5軒。脱衣所と浴槽のあいだに置かれた「掛け湯場」を、浴場建築の語彙で読む。
脱衣所という前室 — 湯に入る前の数歩を、宿はどう設計しているか 5軒
浴室の手前にある脱衣所=前室に着目し、文化財級の湯屋を持つ温泉旅館5軒を編集部が選んだ。積善館・法師・能登屋・黒湯・柏屋。
湯に蝕まれる素材 — 硫黄泉・酸性泉と建材の、終わりのない攻防
pH2を切る強酸性泉、硫黄泉は金属を錆びさせ樹脂を傷める。だからこそ過酷な湯ほど木と石へ回帰する。草津・蔵王・別府明礬の浴場建築から、泉質と建材の終わりのない攻防を読み解く。
銅板葺きの湯屋 5軒 — 緑青へと変わる屋根が、温泉建築に与える時間の表層
葺いた当初の赤銅色から緑青へ。金属屋根が屋根そのものに刻む時間の表層を、登録有形文化財級の老舗湯宿5軒から温泉建築の側で読む。向瀧・西村屋本館・能登屋旅館・積善館・金具屋。