温泉建築
鎖樋と落とし口 — 雨を線として見せる、湯屋まわりの水の意匠 3軒
軒先から地へ雨を導く鎖樋。雨を線と点に分解して見せる水の意匠を、湯屋まわりに組み込んだ数寄屋系の温泉宿三軒——おちあいろう、庭園の宿 石亭、亀の井別荘を、金物と石の話として読む。
飲泉場を構える宿 — 湯に浸かるためでなく、口に含むために設けられた湯口の小建築 3軒
許可を得た源泉だけに認められた飲泉場という小建築。浴場とは別の論理で寸法が決まる「飲む湯」の湯口を、三朝・下呂・四万の登録有形文化財級の宿3軒から読む essay。
露天の岩組を作庭として読む宿 — 湯を囲む石をどう据えるか、庭師の手が入る浴場 3軒
露天風呂を囲む岩を、庭石を据える作法で読み解く。箱根強羅・伊豆修善寺・加賀山代——湯と石が一体で設計された三軒を、庭師の手仕事として観察するエッセイ。
湯小屋を別棟に独立させる宿 5軒 — 母屋から離して湯屋を建てるという、温泉建築の分棟思想
浴場を母屋から切り離し、別棟として独立させる——分棟という発想で温泉建築を読む5軒。妙見石原荘、別邸 仙寿庵、山荘 竹ふえ、旅館 大村屋、大丸あすなろ荘。母屋との距離と接続部の設計から湯小屋の思想を読み解く。
客室にサウナを畳み込む — 湯小屋を私室の内側に持つという、温浴の個室化という設計判断
サウナ・水風呂・外気浴を客室に専有させる「温浴の個室化」。南阿蘇 ORIGAMI MINAMIASO、熱海 GIFTHOUSE 2nd、霧島 ふたり静の3軒を例に、湯屋を私室の内側へ持つという設計判断が滞在をどう変えるかを論じる。
鉄輪・蒸し湯建築を一軒 — 別府・丸神屋、噴気を建材として読む湯治宿の断面
別府・鉄輪の路地に建つ丸神屋は、98度の温泉蒸気を浴場と厨房に引き込み、それを排さず建築の条件とした一軒。砂むし・蒸し湯・地獄釜を館内に併せ持つ湯治宿を、断面と素材から読む。
岩風呂と檜風呂 — 浴槽素材を選び切る宿 5軒、湯と素材が交わる温度域の設計
御影石・檜・伊豆石・天然岩・陶器釉薬。浴槽素材を建築判断として読む5軒。湯温と肌が交わる温度域の設計を、強羅・修善寺・有馬・由布院・別府の老舗から。
湯舟の深さを読む — 立湯・寝湯・浅湯、浴槽の床高が身体に強いる姿勢 5軒
湯舟の深さは、宿が客の身体に強いる姿勢である。140cmの立湯、40cmの寝湯、60cmの浅湯。床高をどう設計したかで温泉文化は分かれる。立湯・寝湯・浅湯を浴場建築の主題に据えた5軒を、断面図的に読む。
同じ湯屋が時間で姿を変える——男女入替を建築から読む三軒
男女入替は設備運用であると同時に、非対称な浴場建築を前提とした設計判断でもある。眺望・湯舟・動線が異なる二浴場を、入替の時刻がどう束ねるのか。湯田中よろづや・草津奈良屋・下呂水明館の三軒を、運用を建築の側から読むエッセイ。
法師温泉長寿館・法師乃湯 — 群馬・三国峠麓、鹿鳴館様式の総檜浴場を建築として読む
明治28年築、ラウンドトップの大窓を持つ総檜の湯屋「法師乃湯」。足元湧出と擬洋風意匠が一体となった登録有形文化財の一棟を、建築として読み解く。