デザインホテル
取っ手という小宇宙 — 引手・把手・ドアハンドルに宿の設計思想が宿るとき
襖の引手、扉のハンドル、湯殿の把手。手が必ず触れる一点に、設計者の思想は宿る。柊家・Azumi Setoda・アマン京都の三軒を引きながら、取っ手という小宇宙から宿のデザインを読み解くエッセイ。
石を積む宿 5 軒 — 大谷石・鉄平石・玄昌石を外装に纏う建築
外壁・アプローチ・塀という乾いた石の使い方に着目。栃木の大谷石、長野の鉄平石、宮城の玄昌石を建築に纏うデザイン宿5軒を、産地と施工面という観点から選んだ。
ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts ― 鷹峯三山の麓、湧水と段丘の上に低く挿す114室
京都市北西部・鷹峯。ヒルトン LXR がアジア太平洋で最初に開いた114室を、絶賛を排して建築単体で観察する。設計は BLINK Design Group。
床の間に何を置くか — 宿の主人が来客のたびに差し替える、床の間という編集装置
床の間は飾る場所ではない、差し替える場所である。当主が客のたびに掛軸を替え、籠花を変える宿は京都・奈良・金沢にわずかに残る。三軒の床の間を四季の例で読む。
杮葺と栩葺 — 板葺き屋根を残す、もしくは現代的に翻案した宿 5 軒
瓦より短命の板葺き屋根を継ぐ宿は、今どれほど残っているか。京都の数寄屋老舗三軒、村野藤吾が戦後に翻案した佳水園、松本の渓谷で板葺き軒を現代に解釈した一軒。屋根論として読むべき宿、五軒。
ガラスという素材 — 開口部・吹抜・浴室の仕切に挿入された板硝子の宿 5軒
坂茂・安藤忠雄・ケリー・ヒル——板硝子の納まりに思想を込めた建築家の手つきを、光の差し方が変わる季節に読み解く。瀬戸内から京都・愛媛・長野まで、ガラスが意匠の核になっている宿5軒。
ベラビスタ境ガ浜 — 福山・鞆の浦近郊、瀬戸内を切り取る斜面建築
広島県尾道市浦崎町、対岸に沼隈町を望む境ガ浜の急斜面に建つベラビスタ境ガ浜を、客室棟のカンチレバー構造、海面までの比高約30m、温浴棟インフィニティ構成の三つの建築語彙から読み直す。1973年迎賓館開業、2007年リブランド、2025年1月営業休止と次の再生まで。
白井屋ホテル — 藤本壮介が前橋の旧躯体に吊した、エッシャー的吹き抜けの構造
群馬県前橋、旧白井屋旅館の鉄筋躯体を残したまま藤本壮介が改修した 25 室のアートホテル。Heritage Tower の 4 層吹き抜けと、盛土屋根の Green Tower。レアンドロ・エルリッヒらの作品が常設される一軒を、吹き抜けという垂直の建築要素から読む。
継手と仕口 — 釘を使わない木組みを、客室の梁と柱で読む宿 5軒
釘を使わず木と木だけで荷重を支える継手と仕口。蟻継ぎ・込み栓・追掛大栓継ぎが露しの木造架構を、客室の梁と柱から読む宿を、南会津・飛騨・松本から5軒選んだ。
長門湯本・大谷山荘別邸「音信」— 音信川の蛇行に沿って挿入された18室の建築
長門湯本温泉の中心を流れる音信川。その蛇行に沿って、十八の客室が低く挿入された「大谷山荘 別邸 音信」を一軒だけ深く読む。安山岩と杉板の使い分け、川との高低差、十八という客室数の意味 — 建築を歩いて読む旅へ。